エジプト首都カイロで7日、同国北部ポートサイドでサッカーの試合後に起きた暴動を軍政が阻止しなかったとして発生した抗議デモと機動隊の衝突は6日目に突入しました。

サッカー場での暴動
機動隊数百人が内務省本部に向かう道路を封鎖し、投石するデモ隊の接近を防ぐために催涙弾を発砲しました。機動隊は、衝突の中心地となったマンスール通りにコンクリートブロックの壁を設置し、別の道路では有刺鉄線を張っ ています。
保健省は4日、2日の衝突発生以降、カイロとスエズで12人が死亡したと発表しました。当局が対応しなかったとして問題となったサッカー競技場 での衝突では74人が死亡しました。これにより、死者数が計86人にのぼっています。また、負傷者数は2000人を越え、重傷者もいるということです。こ のため、死者の数が引きつづき増える恐れもあります。
3日には、軍部が政治権力の頂点に居座る ことを正当化するため、意図的に混乱状況を作り出しているとの非難が起きる中、軍政司令官の即時退陣を求めるデモが全国規模で開かれました。サッカー競技 場での死者の多くは、カイロのプロサッカーチーム「アル・アハリ」のサポーターグループ「ウルトラス」のメンバーとみられています。
カイロのアル・アハリ に3-1で勝利したポートサイドの地元チーム「アル・マスリ」の一部サポーターが、ウルトラスのメンバーを襲撃したとみられます。ウルトラスはホスニ・ム バラク前大統領を退陣に追い込んだ前年の民衆蜂起で大きな役割を果たしたグループです。
そのため、コメンテーターらは、ムバラク支持派の部隊が暴動の背後 にいるかまたは加担したとの憶測を煽りかねないコメントを発しました。軍政は、6月末に大統領が選出された後、民政に権力を移譲することを約束しています。だが、軍政の反対派は軍政が民政移行後も舞台裏で権力を掌握し続けるつもりだと考えています。
こうした中、国際世論は「今後の数日もエジプトで暴動が引き続き発生する」と懸念しています。
アィン・フェン