エジプト大統領選を巡る問題


去年、軍による事実上のクーデターが起きたエジプトで、暫定政府から正式な政府への移行に向けた大統領選挙の投票が始まりました。有権者は約5400万人で、投票は27日まで2日間行われ、即日開票されます。

エジプト大統領選を巡る問題 - ảnh 1
カイロの有権者が投票

エジプトでは、3年前の民主化運動、いわゆる「アラブの春」で政権が倒れたあと、民主的な選挙を経て、イスラム組織「ムスリム同胞団」のモルシ政権が誕生しましたが、去年7月、軍による事実上のクーデターで、再び政権が崩壊しました。

今回の選挙は、クーデター後の暫定政府から正式な政府への移行に向けて新たな大統領を選ぶもので、クーデターを指揮した前国防相のシシ氏と左派の政治活動家 のサバヒ氏の2人が立候補し、26日から全国一斉に投票が始まりました。

このうち、首都カイロ中心部の投票所では、過激派のテロを警戒して軍や警察が配置 されるなど厳戒態勢が取られる中で、有権者たちが投票を行っています。


シシ前国防相優勢

エジプトでは、アラブの春以降、二つの政権が崩壊して混乱が深まるなか、デモが頻発して治安も悪化していることから、強い指導者の下で安定を求める声が高まり、選挙では、昨年7月の事実上のクーデターを主導したシシ前国防相の勝利が確実視されており、ムバラク元大統領以来の軍出身者が再び大統領に就くことになります。

国民が軍の力を背景とした強い指導力による秩序回復を期待していることがシシ氏の優勢に繋がると評されています。シシ氏は26日、カイロで投票を済ませたあと、記者団に対し「エジプト人は自ら歴史をつむぎ、将来を築こうとしている」と語りました。


今後の道のり

しかし、民主化勢力の一部や国際社会からは、軍の力をよりどころにした強権的な政治体制が復活し、アラブの春の前の状態に逆戻りするのではないかという懸念が出ています。シシ氏は、イスラム組織ムスリム同胞団出身のモルシ前大統領が退陣して以来、エジプトの事実上の最高実力者と見なされてきました。

危機的な経済情勢やモルシ大統領退陣後に続いたイスラム教徒の暴動など、シシ氏は国内で多くの問題に直面しています。そして、エジプト新政権の今後の道のりも簡単ではないと予想されています。

ご感想

他の情報