エジプト情勢

エジプト情勢 - ảnh 1
写真:ロイター/Abdullah

エジプトでは、大統領職を解任されたモルシ氏の支持者が再び大規模な抗議行動を行う一方、暫定政府側はデモ隊の強制排除に向けた動きを強めていて、情勢は緊迫の度合いを増しています。

26日から27日にかけ、エジプト各地でモルシ氏を支持するデモ隊と治安部隊が衝突し、モルシ氏の支持者を中心に合わせて75人が死亡しました。

モルシ氏の支持母体のムスリム同胞団は「虐殺」に対する強い怒りを示すため、29日夜に各地の治安関連施設前で抗議行動を行い、このうちカイロではデモ隊が「軍の支配を打倒する」と声を上げながら、幹線道路を行進しました。ムスリム同胞団は30日にも全土でデモを行う方針で、エジプト国民に広く参加を呼び掛けています。

他方、エジプト暫定政権のマンスール大統領は28日、逮捕状なしで一般市民を拘束する権限を治安当局に与え、デモ隊の強制排除に向けた動きを強めています。軍が後ろ盾の暫定政権や治安当局は「デモ隊が暴力的な対応を取れば、断固たる行動を行う」と重ねて警告しました。特に治安関連施設に接近しないよう要求しており、同胞団が対決姿勢を崩さない中、再び大規模な衝突に発展する事態が懸念されます。

こうした中、アメリカのケリー国務長官は27日、エジプトで起きた治安部隊とモルシ前大統領派のデモ隊との衝突で多数の死傷者が出たことを受け、エジプト暫定政権のエルバラダイ副大統領らに深い憂慮を示し、デモに抑制的に対応するよう求めました。ヘーゲル国防長官もシシ第1副首相兼国防相に電話し、強い懸念を伝えました。

国務省が発表した声明で、ケリー氏は「今はエジプトにとって極めて重要な時期だ」と指摘し、「暴力は和解と民主化へのプロセスを後戻りさせる」として、すべての政治勢力の指導者に自制を促しました。

一方、こうした事態を受けて、EUで外交・安全保障を統括するアシュトン上級代表がカイロを訪問し、29日、マンスール暫定大統領やファハミ外相らと会談したあと、ムスリム同胞団の代表とも会って、対話を通じて打開を図るよう働きかけました。
アシュトン上級代表がエジプトを訪問するのは今月に入って2回目ですが、双方の対立の解消は極めて難しい情勢で、およそ1か月にわたって続く混乱が収拾する見通しは全く立っていません。

 

 

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