オバマケアの代替案をめぐる問題


アメリカ下院の共和党首脳は3月6日、医療保険制度改革 (オバマケア)の大部分を撤廃し、代替案となる保険政策構想AHCA=「アメリカン・ヘルスケア・アクト」を正式に発表しました。


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代替案では、国民が総合健康保険に加入するための政府の支援が大幅に削減されることになり、ますます多くの国民が手頃な医療サービスを見つけるのに苦労する可能性が高くなります。また高所得者に対して税額控除を提供します。


多くの方面からの圧力

オバマケアは6人に1人が無保険と言われたアメリカで、政府が補助金を出して所得が低い人でも保険に加入できるようにするなど、事実上の国民皆保険を目指したものですが、代替案には補助金を廃止することなどが盛り込まれています。

このため、野党・民主党は数百万人が無保険に戻るとして反対しています。アメリカの医師会や、病院団体などは8日、共和党が公表した医療保険制度改革 オバマケア改廃のための法案に強い反対を表明しました。医師会などは、「法案は多くの国民から医療保険を奪い、医療費の増加につながる」と批判しました。

一方、共和党の保守強硬派のランド・ポール上院議員は、FOXニュースの番組で、法案をこき下ろし、「オバマケア・ライト(簡易版)だ。こんなものは議会を通過しない」と強調しました。その後の記者会見では、「共和党はオバマケアの廃止では一致しているが、代替に関しては分裂している」と指摘しました。

また、下院共和党内の保守強硬派の一部は、代替法案では保険購入者向けの「税額控除」という形で、オバマ政権下で成立した医療保険制度改革法の政府補助金が実質的に維持されている」と反発しました。


なぜ、オバマケアが廃止されるか?

オバマ前大統領の2010年の法律ACA=「医療費負担適正化法」(アフォーダブル・ケア・アクト)では、健康保険を保険未加入者2000万人に拡大し、保険に入れなかった人の割合をこれまでになく下げました。

ACAは、低所得世帯への財政援助を目標とし、既往歴のある患者を保険の対象とする保障をはじめ、多くの消費者を保護することを特徴としていました。一方、代替案は低所得者層や中間層に向けた支援を切り詰めることで、富裕層や企業が負担する税金を大幅に減額させる手段になっているということです。


医療制度の改革は時間が必要である

オバマケアの代替案についてですが、民主党は法案への反対を即座に表明したほか、保守系団体や共和党内からも懐疑的な見方が出ており、議会で可決されるかどうかは見通しにくいです。

これと同時に、アメリカ国民もこの代替案を反対するため、デモ抗議を行っています。このように、共和党の医療制度改革はさらに時間を必要とすることでしょう。

 

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