オランダの危機・欧州の情勢悪化か

ユーロ圏諸国の債務問題がまだ徹底的に解決できていない中、オランダの情勢が悪化しています。財政赤字削減策をめぐる対立から連立政権が崩壊したオランダで、ルッテ首相が野党に対し緊縮策への協力を求めたものの、野党側は受け入れを拒否し、危機が深刻化する懸念が高まっています。これは完全に回復していない欧州諸国に対する新しい打撃とみられます。

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オランダでは中道右派の自由民主党を率いるルッテ首相がCDAキリスト教民主勢力と組み、極右の自由党が閣外協力して連立政権を運営してきましたが、自由党が財政赤字削減策の受け入れを拒否したことで、23日に政権が崩壊しました。

ルッテ首相はベアトリックス女王に総辞職を伝えましたが、女王の要請を受け、引き続き首相代行として政権を運営しています。ルッテ首相は4月30日までに緊縮策を盛り込んだ予算案を欧州委員会に提出することを求められており、140億ないし160億ユーロに上る歳出削減を実現するためには、小規模な野党からの支持獲得が不可欠となっています。連立政権崩壊の引き金を引いた自由党のウィルダース党首は「総選挙はEU=欧州連合やオランダの主権に関する国民投票になる」として、「反ユーロ」の強硬姿勢を崩していません。

野党側からもルッテ首相に手を差し伸べる動きは見られません。オランダ議会では、自由民主党とキリスト教民主勢力を合わせても150議席のうち52議席しか持っておらず、緊縮策を可決するには野党側から少なくとも24人の支持が必要となります。しかし、野党側は総選挙を前に、国民から嫌われる緊縮策を支持しようとはしていません。総選挙について、ルッテ首相は6月にも実施されるとの見方を否定し、選挙までに5カ月は必要だと指摘していますが、27日の閣議で日程を決めるとの見通しを示しました。

こうした中、国際世論は「ギリシャや、イタリアなどに次いだオランダでの政権崩壊はドミノ効果を引き続き引き起こし、現在の情勢を悪化させ、欧州での新しい危機につながる危険性がある」との懸念を示しています。

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