今月28日、定数123議席で任期5年のカンボジア下院の任期満了に伴う総選挙の投票が行われますが、数週間前から熱を帯び始めました。選挙は比例代表制で8政党によって争われますが、与党CPP=カンボジア人民党と最大野党CNRP=カンボジア救国党の事実上の一騎打ちで、人民党の勝利とフン・セン首相の続投が確実視されています。
カンボジア選挙委員会によりますと、今回の選挙に、同国国民約1400万人の中の960万人の有権者が投票に参加する見通しだということです。
CPP支持者
人民党は内戦終結後2度目となった1998年の総選挙で、第一党に躍進しました。その後、2度の選挙に大勝して、90議席を占めています。フン・セン氏の首相在任はアジアの指導者で、最長の28年に及んでいます。人民党は、実質GDP=国内総生産が年率6%超の伸びを記録するなど好調な経済を背景にこれまでの実績を強調する選挙戦を展開しています。
総選挙の前哨戦とされた昨年6月の地方評議会選挙で、人民党は約7割の議席を獲得して、圧勝しました。好調な経済成長を背景に優位は堅いとみられています。しかし、公務員や教師が総動員され、人民党の支持拡大を図ったことに批判が出ています。
これに対し、救国党は、経済成長に伴う格差拡大や、第2首相時代を含め28年にわたって権力を掌握してきたフン・セン首相の下での腐敗を批判して、「変革」を訴えています。
亡命していた救国党のサム・レンシー党首が恩赦を受けて4年ぶりに帰国し、「チェンジ」を掲げ、勢いを増しています。28年間も首相の座にあるフン・セン首相の与党・人民党は防戦に必死です。サム・レンシー党首は2009年から亡命していましたが、公正な選挙を求める国際的な世論を受け、恩赦が認められました。帰国後の21日に立候補届を出しましたが、選管は「時期が遅く要件を満たさない」と却下しました。
救国党や支持者らは「選挙は自由・公正でない」と反発しています。サム・レンシー党首もラジオ番組で「出馬できなければ、すべてのカンボジア人が抗議し、国際社会は選挙結果を非難するだろう」と批判し、波紋が広がっています。
こうした中、アナリストらは、「今回の総選挙でもフン・セン首相の人民党は議席多数を獲得し、勝利する」との予測を出しています。