ギリシャの債務危機をめぐる問題

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ギリシャの債務危機をめぐる問題

 通貨ユーロを導入しているユーロ圏の財務相会議は、夜を(てっ)して協議した結果、ギリシャへの包括的な支援策を正式に決定し、当面の債務不履行は回避される見通しとなりました。支援策には、ヨーロッパ中央銀行も事実上の債務の削減に協力することが盛り込まれています。

 会議のあと、ユーロ圏の議長を務めるルクセンブルクのユンケル首相が記者会見し、来月、多額の国債の償還(しょうかん)を迎え、債務不履行のおそれが出ているギリシャに対し、実施が遅れていた1300億ユーロに上る追加支援を正式に決めたことを明らかにしました。また、ギリシャの財務状況が予想以上に悪化していることを受けて、ギリシャの国債を保有する民間の銀行がこれまでの合意より大きい元本(がんぽん)の53.5%の削減に自発的に応じてもらうことで合意しました。さらに、ギリシャ国債を保有するヨーロッパ中央銀行や各国の中央銀行も、事実上の債務の削減に協力することが新たに盛り込まれました。

 これらの支援策により、ギリシャの当面の債務不履行は回避される見通しになりました。一方で、ギリシャに確実に財政緊縮策を実行させるため、EU欧州連合などによる監視体制を強化することや、債務の返済を優先させるため、支援の資金はEUなどの監視の下に作られる特別な口座に支払うことなどで合意しました。

 EUとともにギリシャへの金融支援に当たるIMF国際通貨基金のラガルド専務理事は、会議のあとの記者会見で、「ギリシャが健全な財政状況に戻り、競争力を取り戻すために重要な進展が図られた。IMFとしては、ギリシャ政府が月内に必要な取り組みを進めることを見定めて、来月2週目に開く理事会で、支援の実行を協議する」と述べ、ギリシャ政府に対し、民間金融機関との間の債務削減手続きなどを速やかに進めるよう促しました。

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アテネでの緊縮策に反対するデモ

こうした中、首都アテネでは、支援の条件である緊縮策に反対するデモが激しさを増しています。19日、アテネの議会前などで抗議を行っていた労働組合などデモ隊の一部が警官隊と衝突して、60人以上が拘束されました。

 ギリシャ政府は、追加の緊縮関連法案など3億2500万ユーロの歳出削減案をすでに閣議で承認しています。これで、ユーロ圏諸国が支援の前提として求めていた条件がそろうことになり、1300億ユーロ規模のギリシャ向け第2次支援が合意しました。

 ただ、去年のギリシャの経済成長率はマイナス6.8%で、今後さらに緊縮策を()(すす)めれば景気が冷え込んで財政再建が一層困難になる事態も懸念されています。

 

 

 

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