24日、ユーロ圏の財務相は、ギリシャ政府が金融支援の4カ月延長のためにEU=欧州連合に提出した構造改革案を承認しました。今週中に、EU各国の議会に諮られることになります。これは、ギリシャにとって望ましいことですが、今後のこの国の道のりは困難がたくさんあると予想されています。
ギリシャがEUの支援金を必要としている(写真:Telegraph)
改革案によりますと、ギリシャ政府は、脱税や汚職と戦い、公務員の削減や給与の改定に取り組むこと、また、税制改革や民営化の推進を行うことなどを示し、「後戻りはさせない」と明記していて、EU側は、内容は「十分に包括的で、有効な出発点になる」と評価しました。このあと、議会の承認が必要なEU加盟国での審議を経て、支援延長の手続きが進みます。
アテネの譲歩
ギリシャは23日深夜、延長の条件となる改革案のリストをEU側に提出しました。リストはEU側が求める緊縮策の継続でさらに譲歩しました。ギリシャの政府筋によりますと、改革案では富裕層への徴税強化や脱税・汚職対策のほか、それに燃料や、たばこの密輸入の摘発強化によって、歳入の増加を見込むとしています。
財務相会合の声明によりますと、EUやIMF=国際通貨基金などは「有効な出発点とするのに十分に包括的」と評価しました。
この案をたたき台にギリシャとEU側が4月末までに詳細な改革リストについて合意しなければ、延長は白紙に戻ります。この合意に関して、最大の支援国で国民からの不満も根強いドイツの議会の判断に注目が集まっています。それに加えて、ギリシャ国内で、この改革案への不満も少なくなく、先行きは予断を許さない状態です。
今後の道のり
チプラス首相が先月の議会選挙で公約とした低所得者への医療や食事、電力の無償提供のほか、抵当に入った住宅の競売禁止なども盛り込まれ、国民への配慮を示すねらいもあるものとみられます。
この改革案について、ダイセルブルーム議長は、「ギリシャが元の軌道に戻り、将来の協力に向けた時間を確保することにつながるだろう」と述べたうえで、内容を精査する考えを示しました。
チプラス首相は21日のテレビ演説で、「緊縮策を終わらせる決定的な一歩を踏んだ」と述べ、支援策は単純に延長されたわけではないと強調しました。
だが、野党 は「EUの締め付けがより強まった」と攻撃しました。与党内からも緊縮策継続で折れた政権に説明を求める声が上がっています。政権は発足から1カ月間、反緊縮世論をあおってきただけに、今後難しい政権運営を迫られそうです。