シリアに関する和平協議をめぐる問題

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シリア和平協議中も軍事衝突が緩和されなかった (写真:AFP)

シリア内戦の政治的解決に向けてスイスジュネーブで開かれていた和平協議の「第2ラウンド」が15日、終了しました。アサド政権側と反体制派統一組織 「シリア国民連合」は議論の“入り口”から対立を続けた結果、具体的成果は得られませんでした。次回の日程も決まらず、協議は行き詰まりの様相を強めています。

双方の代表団は15日、国連・アラブ連盟のブラヒミ合同特別代表の仲介の下、直接協議しました。ブラヒミ氏によりますと、「テロ対策」や移行政権など次回日程で議論する4項目で合意しましたが、日程は未定です。実現するかは不透明さも残っています。10日に再開した今回の協議では「ジュネーブ合意」をめぐり、何を優先的に議論するかで平行線を辿りました。これまで、アサド氏退陣を目指す国民連合は移行政権の議論を急ぎ、大統領退陣をむ政権側は「テロ対策」の議論を優先すべきだという姿勢でした。政権側は「何の成果もない」とし、国民連合の報道担当者も「手詰まりだ」と強調し、互いに責任を押し付けあいました。国民連合は今回、アサド氏の処遇に言及せず、移行政権の役割などを内容とした基本方針を示しました。アメリカ国務省高官もこの内容を認めており、妥協する姿勢をちらつかせることで政権側の譲歩をったとみられます。ただし、政権側に応じる気配はみられません。

協議中にはアメリカとロシア高官もジュネーブ入りしブラヒミ氏に協力を約束しました。しかし、人道支援のための国連安全保障理事会決議採択をめぐる対立もあり、和平協議を主導した両国の間でも隔たりが目立っています。

協議が行き詰まるなか、アメリカのケリー国務長官は、反アサド政権の立場をとる中東のアラブ首長国連邦を訪れて、17日、ムハンマド皇太子と会談し、シリアへの新たな対応策を巡って意見を交わしました。会談では、2国間関係のほか、シリアの内戦を巡ってスイスのジュネーブで開かれてきたアサド政権と反政府勢力による和平に向けた協議についても話し合われました。ジュネーブでの協議は、具体的な成果を出せないまま中断するなど行き詰まっており、ケリー国務長官は、アサド政権の対応を批判するとともに、新たな対応策を検討する考えを示しました。また、アラブ首長国連邦は、サウジアラビアやカタールなどペルシャ湾岸のほかのアラブ諸国と共に、アサド大統領の退陣を求め、反政府勢力への支援を続けています。サウジなどアラブ諸国はシリア内戦の和平協議が進展しないことに失望しており、新たな武器供与で反体制派てこ入れを図るとみられます。

他方、アメリカのオバマ大統領は14日、シリアの内戦終結に向け、アサド政権に対する新たな圧力を検討していることを明らかにしました。カリフォルニア州の保養施設でヨルダンのアブドラ国王と首脳会談を行った際、このように述べました。

こうした中、国連安全保障理事会の複数の常任理事国大使は19日、内戦が深刻化するシリアの人道状況改善をアサド政権や反体制派に要求する決議案が、週内にも採決に掛けられる可能性があると明らかにしました。対シリア決議案をめぐっては、ロシアが中国と共に過去3度、拒否権を発動して採択を阻んでいます。国連外交筋は、採択を目指してロシアなどとの間で大詰めの文案調整が続いていると語りました。

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