26日、カタールの首都ドーハで、22カ国・機関で構成するアラブ連盟は首脳会議を開き、シリアのアサド政権に代わって反体制派の統一組織「シリア国民連 合」に同国の代表権を与えることを決めました。
アラブ連盟は昨年11月、カイロでの会合でアサド政権の同連盟会合への参加資格を停止していましたが、今回の措置で、ア サド政権の国際的な孤立は一段と深まることになるだけでなく、シリア内戦の更なる深刻化にもつながると懸念されています。
アラブ連盟首脳会議に出席中のシリア反政府勢力の代表
アラブ連盟の首脳会議で議長国カタールのハマド首長は、シリアの反政府勢力「シリア国民連合」のハティブ代表と近く発足を目指す亡命政府の首相として選出されているヒット氏を、シリアの新しい代表として認めると述べました。
これを受けて、この2人をはじめ、反政府勢力の主要メンバーが議場に入り、シリアの代表の席に着席しました。ハティブ代表は「シリア国民の真の代表がようやくこの席につくことが出来た」と述べ、加盟各国に感謝しました。
これについて、シリアのアサド政権は、国営通信を通じて、アフマドアラブ連盟前大使のコメントを出し、「主権国家の代わりに、実態のない体制に席を与えたことはアラブ連盟の誤りで、断じて認めない。アラブ連盟はもはやシリアの問題を解決する立場にはなく、自らの問題の一部に成り下がった」と述べ、アラブ連盟の対応を強く批判しました。
ロシアも「アラブ連盟が新たな反シリア的な行動を示した」と批判しています。ロシア側は27日、アラブ連盟の決定を「弁護できない不合法的なものである」として非難しました。
一方、各国の世論もシリア反政府勢力への資金や軍事物資の支援に反対しています。市場調査会社ユーゴフ(YouGov)がこのほどアメリカや、イギリスなど各国の国民を対象にインターネットで行ったこの問題に関する世論調査の結果によりますと、アメリカでは反対が45%となっている一方、支持率が16%にしか達していません。そして、イギリスではその割合がそれぞれ57%と16%になっています。
シリアでは、首都ダマスカスをはじめ各地で政府軍と反政府勢力による激しい戦闘が続いていますが、アラブ連盟という外交舞台の1つでは政権交代が実現した形です。こうした中、今後、欧米諸国がシリア反政府勢力に対して大規模な支援に踏み切るかは焦点となっています。