22日、スイスでシリア内戦の終結を目指す和平会議「ジュネーブ2」が開催され、シリアのアサド政権と反体制派の双方が参加する「移行政府」の発足に合意できるかが最大の焦点となります。
会議にはシリア外相率いる代表団をはじめ、大統領顧問、シリアの国連大使、そして、40カ国の代表が参加します。
しかし、国連のパン・ギムン事務総長は20日、シリア和平国際会議へのイランに対する参加要請を撤回しました。アメリカやシリアの反体制派の反発を招き、和平会議の成否が問われる事態に発展したため、わずか1日での撤回となりました。

事務総長のネザーキー報道官(写真: Reuter)
事務総長のネザーキー報道官は撤回理由について、シリア移行政府の樹立などを定めた2012年のジュネーブ合意が和平会議の基礎なのに、イランがそれを認めない立場を公式表明したことを挙げました。
特に参加要請前の段階で、複数のイラン高官が潘氏にジュネーブ合意が会議の基礎であることに賛同すると述べながら、それを受けパン氏が参加要請した後、イラン政府が同合意は受け入れないと正式発表したと指摘しました。
シリア国際和平会議に反体制派の代表として招待された「シリア国民連合」は20日、国連がイランの招待を撤回したのを受けて、会議に参加する方針を改めて発表しました。アサド政権側はすでに参加を表明しており、当事者間での協議が実現します。
ただ、関係者の思惑には大きな隔たりがあり、難航が予想されます。国民連合によれば、トルコのイスタンブール郊外での会合で参加が決定されました。しかし「アサド大統領の退陣」が保証されていない状況での参加に反対する勢力も多く、「全体の4割近くが会合を欠席した」ということです。
一方で、欧米など仲介役の各国は、アルカイダ系組織の勢力を押さえ込むために、アサド大統領を安易に排除できない状況にあります。戦況でも優位といわれる政権側は「退陣」を前提とすることを拒否しました。
ロシアなどの支援を受けながら、限定的な停戦合意にとどめようとしています。国民連合は国外勢力と国内で戦う勢力の間で以前から意見の隔たりが大きく、国民連合から離脱した武装組織も少なくありません。
スイスで和平合意に至っても、その実行をどのように担保するか、課題は残っています。さらに、合意が反体制派の分裂を引き起こしては何の意味もなされません。