(VOVWORLD) - シリア内戦の終結への道のりはまだ遠いと見られています。
シリア内戦の終結を目指す国連主導の和平協議が28日、約5カ月ぶりに再開しました。過激派組織(IS)「イスラム国」がほぼ崩壊した後、初めての協議となりましたが、アサド政権と反体制派のズレは大きく、協議は難航が予想されています。
シリア反政府体制の代表 |
議題は新憲法と選挙
和平協議は8回目ですが、これまでは主に停戦に重点が置かれてきました。内戦が収束に向かう今回は、新憲法の制定や大統領選挙の実施などを中心に議論しています。協議の前、反政府勢力と、仲介にあたる国連のデミストラ特使の会談が行われました。会談の内容は明らかにされていませんが、アサド政権と反政府勢力の双方が参加する新しい政権づくりに必要な、新憲法の起草や選挙の実施方法などについて意見を交わしたと見られます。
世界各国は今回の協議に支持の声を上げています。アメリカのトランプ大統領は、協議の重要性を強調した上で、ロシアと連携してシリア内戦の終結に取り組むと明らかにしました。
難航は必至
しかし、協議が始まる前に、難航する兆しがありました。協議の前日になっても、アサド政権が現地に代表団を派遣するめどが立っていないことが挙げられました。アサド政権が協議への参加を渋っている理由について、シリアのメディアは「反政府側が和平交渉を始める条件としてアサド大統領の退陣を求め続けていることにある」と伝えました。
そして、その後、政権側の代表団も参加しましたが、国連の特使との会談で、アサド大統領の処遇について議論しない姿勢を改めて強調したとの報道がありました。
実は、軍事的に劣勢に立たされている反政府側はアサド大統領の退陣を和平交渉を始める条件とすることはやめました。しかし、交渉の中では引き続き、退陣を求めていくとしており、双方の対立が解消されるめどは全く立っていません。
今回の協議は政権側と反体制側の代表団による会談が行われるのか不透明です。こうした中、シリア内戦の終結への道のりはまだ遠いと見られています。