シリアの緊張情勢がエスカレートしている中、今週の初め、ロシアのラブロフ外相はシリア問題に関する緊急の声明を発表し、この中で、「もしシリアの化学兵器を国際管理下に 置くことで、攻撃を回避することができるのなら、われわれは直ちにシリア政府と共にその作業に参加する」と述べ、シリア政府に対して化学兵器を国際管理下 に置くよう求めたことを明らかにしました。
米ロ外相(写真:Kienthuc.net.vn)
化学兵器を廃棄すること、OPCW=化学兵器禁止機関に加盟することも要請しました。これは、シリア問題解決プロセスに新しい転換点を作り出すものと見られています。
これに対し、シリア側はその翌日、ロシアの提案を受け入れると表明しました。シリアのワリード・ムアレム外相は、「ロシアの提案については、9日の午後に既に同意している」と発表しました。
さらに、「われわれは、化学兵器がどこにあるかを明かし、化学兵器の製造を中止し、また関連施設をロシアやその他の国々、また国連 の代表らに見せる用意がある」と述べると同時に、「シリアは化学兵器禁止条約への加盟を希望する。化学兵器に関する情報の開示も含め、条約加盟に伴う責務を果たす意思もある」とも述べました。
国際世論も、この動きを高く評価しています。アメリカのオバマ大統領は、ロシアの提案を歓迎、国連などでの具体策協議を指示し、外交的解決を探る動きが突如強まりました。
同大統領は10日、ホワイトハウスで国民向けに演説し、シリアのアサド政権に化学兵器の放棄を求める国連安全保障理事会の決議案採択を通じて、問題の外交的解決を目指す方針を表明しました。
こうした中、シリアの化学兵器の国際管理に向けた外交努力が各方面で続いています。アメリカ国務省によりますと、ケリー国務長官とロシアのラブロフ外相は11日、翌日にスイスのジュネーブで予定されている会談を前に電話で協議しました。
シリアの化学兵器を廃棄する戦略についての合意を図ったとみられました。また、国連安全保障理事会常任理事国を務めるアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア5カ国の代表は同日、シリアの化学兵器の国際管理案についてニューヨークで協議しました。
アナリストらは、「ロシアの役割で、当面、シリアは武力攻撃を回避できるものの、この問題を徹底的に解決するためには、時間と関連各側の努力が必要とされる」との見解を示しています。