
G8サミット開催地
G8=主要8か国首脳会議が17日、イギリスの北アイルランドのロックアーンで開幕しました。17日は世界経済の現状や自由貿易の推進、内戦が続くシリア情勢などが主要議題となります。2日目の18日はテロ対策や企業の課税逃れ問題などを議論した後、合意文書を採択して閉幕する予定です。
シリア情勢をめぐっては、欧米首脳がロシアに対し、シリアのバッシャール・アサド大統領への支援をやめるよう圧力を強め、冒頭からシリア内戦が中心議題となりました。
議長国イギリスのキャメロン首相は当初今回のサミットで、課税逃れと多国籍企業の透明性強化に向けた動きに焦点を当てたい考えでしたが、シリア内戦が他のどの議題よりも最優先される可能性が出てきました。キャメロン氏は、17日後半の会議の重点をシリア問題の討議に据えたのは、和平会議をスイスのジュネーブで確実に今年中に開催するためだと述べました。
ロシアは欧米諸国が反体制派支援のためシリア上空に飛行禁止空域を設けようとしている動きをけん制した一方、イギリスのデービッド・キャメロン首相は和平会議開催に向けた進展を促しました。シリア政権側が化学兵器を使用したことが確認されたとして、アメリカが反体制派に軍事支援を行うと表明したことで、今やアメリカとロシアがシリア内戦で対立する双方にそれぞれ軍事協力する形となっています。
アメリカのオバマ大統領とロシアのプーチン大統領は17日、主要国首脳会議の開催地で会談し、シリア内戦やイラン情勢などをめぐり協議しました。焦点のシリア問題では、アサド大統領の退陣を求めるオバマ大統領と、退陣を前提にした停戦交渉は認めないとするプーチン大統領の溝が埋まらず、議論は平行線を辿りました。
これに関し、アメリカのローズ大統領副補佐官は、「アメリカが認定したアサド政権による化学兵器の使用にロシアは懐疑的だと指摘した。この問題でも両首脳の主張は折り合わなかった」と語りました。オバマ大統領は会談後、「シリアをめぐり異なる見解を抱いているが、暴力を減らし、化学兵器の安全を確保するという点でわれわれは利益を共有する」と強調しました。先延ばしされているアサド政権と反体制派による国際会議の準備を進めるよう事務当局に指示したと明かしました。プーチン大統領も「意見が一致しているわけではない」と認めつつ、会議開催を急ぐ姿勢では足並みをそろえました。

プーチン大統領とキャメロン首相 (写真:lbtimes)
他方、プーチン大統領は16日、ロックアーン・サミット開幕を前に、ロンドンでキャメロン首相と会談し、アサド政権への軍事支援を継続する考えを示し、米英などに歩み寄る姿勢は見せませんでした。
会談後の記者会見で、プーチン大統領は「シリアの反体制派は殺害した敵の内臓を食べている」と述べ、欧米が「危険な」反体制派を軍事支援しないよう警告しました。
シリア内戦で5月、反体制派メンバーが政権側兵士の遺体から内臓を取り出し、口にする様子を映したとされる動画がインターネット上で流れたことがあります。
シリア情勢はサミットの焦点となりますが、シリアのアサド政権を敵視する欧米と同政権を擁護するロシアの間の溝がサミット前に早くも浮き彫りになった形です。