スペインの新政府について

20日に行われたスペインの総選挙では世論の予測通りに、中道左派・国民党は勝利を収めました。しかし、新政権が多くの困難に直面するとの予想も出ています。

7年半ぶりの政権復帰を決めた国民党のラホイ党首は20日、勝利宣言の中で「敵は経済危機以外にない。危機と闘う」と強い決意を表明しました。歴史的大勝を飾ったとはいえ、国民の痛みや反発を伴う緊縮策を着実に実施しなければならなく、発足直後から政権運営で困難を迫られます。国民党の勝利は危機拡大を阻止できなかった社会労働党政権への批判と約500万人の失業者の怒りによるという側面が強いとみられています。国民党が経済危機脱出への確実な道筋を示して勝ったわけではないとの見方もあります。それを裏付けるように、スペインをはじめ欧州の株式市場では21日、主要株式指数が軒並(のきな)み2%以上下落してスタートしました。政権交代だけでは市場は納得していない現状が明らかになりました。新政権は発足直後から緊縮策への反発に直面するとみられます。ラホイ党首は「年金分野を除くすべての面で歳出をカット する」と明言しました。公共事業の削減などに着手します。同国の今年の成長率予測は1・3%から0・8%に下方修正されており、景気後退の恐れもある中、緊縮策で 景気がさらに悪化すれば、国民の怒りが高まることは必至です。同党首は外国投資を増やし、成長を図りたい意向ですが、スペイン国債の価値が急落するなど国の信用そのものが揺れており、前途は厳しくなっています。債務危機に悩んでいるギリシャの4倍以上の経済規模を持つスペインが危機克服に失敗すれば、欧州全体に危機が拡大する恐れもあります。スペインの自主再建が困難になった場合、EU欧州連合による安全網では支えられない可能性が高く、状況は切迫しています。

このような中、国際世論は「スペイン新政権の今後の道のりは容易ではない。同政権が現在の困難を解決できるかどうかは焦点となっている」との見解を示しています。

ドアン・チュン

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