(VOVWORLD) - 21日にスリランカで発生した連続爆破テロは全世界に衝撃を与えたといえます。国際テロリストの関与がある可能性が高いことから、これはスリランカの国内問題であるだけでなく、国際問題ともみられています。また、テロリズムの拡大に関する警鐘ともなっています。
既にお伝えしましたように、スリランカでは21日、最大都市コロンボとその郊外などのホテルとキリスト教の教会、合わせて6か所で、ほぼ同時に爆発などが起きました。
スリランカ政府が非常事態を宣言(写真:VNA) |
スリランカ政府は23日午前、一連の爆発などによる死者はさらに増えて310人になったと発表しました。けが人はおよそ500人にのぼっています。これは、スリランカ内戦が終結した2009年以来、一般人を標的にした最悪のテロ事件となっています。
国際テロの跡
スリランカ政府報道官は22日、この連続爆破テロについて、「国内に限定したグループの犯行とは思えない」と述べ、国際的組織の支援を受けたとの見方を示しました。また、捜査で、一連の犯行を同国のイスラム過激派組織「NTJ=ナショナル・タウヒード・ジャマア」によるものとする見方が強まっています。
NTJは知名度が低く、昨年の仏像破壊事件への関与が伝えられたことで知られていた程度の組織です。スリランカ政府は23日、事件に関与したと断定したNTJに国際テロ組織の支援があったとみており、国際刑事警察機構が捜査協力をすると明らかにしました。警察はこれまでに40人を逮捕しました。逮捕者は主にスリランカ国籍ですが、警察当局は外国人が犯行に関与した疑いを捜査しています。
アナリストらは、「今回の一連の爆破には極めて高度な計画性と連携がある」と指摘しています。さらに、安全保障分析を専門とするアメリカのシンクタンク「ソウファン・センター」が今年1月に発表した報告によりますと、アルカイダとイスラム過激派組織「IS=イスラム国」は南アジアでの支持者獲得を目指し、バングラデシュ、ミャンマー、インド、スリランカのイスラム教徒に対する不正義を強調するプロパガンダを発信していました。
テロ再発の恐れ
スリランカの人口には、カトリック教徒が7∼8%、イスラム教徒が10%、ヒンドゥー教徒が13%を占めており、残りは仏教徒です。昨年、イスラム教徒を標的とする仏教徒の暴動が複数発生しました。
12月には、仏像破壊事件が同国南部ケゴール県で発生し、NTJの名前が広まるとともに、スリランカ国民の多数を占める仏教徒の間に怒りが沸き起こりました。NTJ幹部のアブドゥル・ラジク容疑者はこれまで、宗教的な騒乱を扇動したとして数回逮捕されたことがあります。NTJは仏像破壊以降、過激思想への傾倒を強めています。
こうした中、アナリストらは、「今回の連続爆破テロはスリランカでの10年間の平和に終止符を打ち、スリランカの発展事業に悪影響を与えるだけでなく、今後のテロリズムの拡大を告げるものともなる」との懸念を示しています。