タイの政治的混乱

タイ国会で7日、与党・タイ貢献党が提出した恩赦法案の審議が始まり、野党・民主党などは、海外で事実上の亡命生活を送るタクシン元首相の帰国を狙うものだと反発し、2000人以上が抗議行動を展開しました。タイを二分する親、反タクシン両派の対立が再び先鋭化しています。

審議入りを前に、民主党のアピシット党首らはバンコク中心部から国会議事堂へ向かいデモ行進しました。アピシット氏は、タクシン氏の妹であるインラック首相に対し「法案を審議の俎上(そじょう)に載せれば、すべてが終わるだろう」と述べ、深刻な対立状況に陥ると強く警告しました。


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政権与党と野党の駆け引きが激化する中、「タクシン体制打倒」を掲げる反政府集会が24日、バンコク中心部の「民主記念塔」などで行われました。反政府デモを続けているタイの野党・民主党を中心とする勢力は25日朝、支持者をバンコクに集め、インラック政権の打倒を目指す大規模なデモ行進を始め、財務省庁舎や敷地を占拠しました。

反政府デモ参加者は26日も占拠を継続しました。デモを主導している野党民主党のステープ元副首相は、これまで大規模集会を開いてきた「民主記念塔」に加えて財務省も拠点とすると記者団に話しており、問題の早期解決は見通せない状況です。

タイでは、2011年の選挙でタクシン元首相の妹、インラック氏の政権が誕生した後、比較的 落ち着いた状態が続いていました。しかし、汚職疑惑で有罪判決を受け2008年以来国外滞在中のタクシン氏の帰国につながる可能性のある恩赦法案をめぐり、数週間 前から野党主導の抗議活動が展開されてきました。11日に上院が同法案を否決した後もデモは拡大の様相を呈し、恩赦法案をきっかけに再燃したタクシン派と反タクシン派の 対立は深刻化しています。

インラック首相は25日夜の演説で、これまで首相府や議会のある地区に限られていた治安維持法をバンコク全体に拡大して適用すると発表しました。特定地域や建物への出入り制限や、通行制限、夜間外出禁止などが可能になります。同時に「力に頼らない」と述べて、強制排除の可能性は除外しました。

首相は野党側に話し合いを呼び掛けていますが、首相と国外逃亡中の兄のタクシン元首相を批判して「タクシン体制打倒」を掲げる野党側との歩み寄りは困難です。

下院は26日、インラック首相に対する不信任案を審議しました。与党が多数を占めるため否決の公算ですが、審議の過程で野党側がさらに反発を強めることが予想されます。

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