タイ情勢について


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タイでのデモ(写真:AP)

既にお伝えしましたように、タイのNACC=国家汚職追放委員会は、去る18日、政府が農家からコメを高値で事実上買い取る「コメ担保融資制度」を巡り、インラック首相を告発する方針を決めました。インラック首相は27日にに召喚され、有罪となれば、首相を解任される上、今後5年間の政治活動が禁じられます。


政策の逆効果

これは緊張が続いているタイ政局の深刻化につながる可能性があると懸念されています。コメ担保融資はインラック政権が2011年8月の発足直後に導入しました。コメを実勢価格より3~5割高で買い上げ、支持基盤である地方農家の所得の押し上げを狙ったものです。

しかし、政府には2千億~4千億バーツ(約6300億~1兆3千億円)規模の損失が生じたとされる上、ブンソン元商業相らの汚職容疑も浮上しています。


行き詰まり

タイでは今月2日に総選挙が実施されましたが、反政府デモ隊の妨害などで結果が確定しませんでした。4月に予定する再投票の実施の行方も不透明です。首相が職務停止に追い込まれた場合、ポンテープ副首相など他の閣僚が代行し、現在の選挙管理内閣は存続するとみられます。

バンコク中心部を占拠するデモ隊は、首相辞任を集会解散の条件としてきました。だが、一方で選挙の前に暫定政権下で政治改革に取り組むことを求めており、タクシン派政権が存続する中で集会を中止する公算は小さいです。

こうした中、国際社会は深い懸念を示しています。アメリカ国務省のサキ報道官は26日の定例会見で、政治の混乱に伴い治安が悪化しているタイ情勢に懸念を表明し、全ての当事者に自制を求めました。

タイの繁華街で23日に爆発が起き、子ども2人と女性1人が死亡、少なくとも22人が負傷した事件に関し、サキ報道官は厳しく非難し、「政治的な相違を解決する手段として、暴力行為は受け入れられない」と表明しました。「われわれは全ての側に自制を求めることを強調する。タイの当局には最近起きた全ての暴力行為を徹底的に捜査してもらいたい」と述べました。

こうした中、アナリストらは「現在の情勢から見れば、タイの政治危機の徹底的な解決策を見出すのは簡単ではないと言える」との懸念を示しています。

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