タイ、緊張情勢増す

タイの反政府デモは、インラック首相の退陣や首相の兄・タクシン元首相の影響力の排除を求めていてデモの本格化から1週間が経ちました。2日も大規模な反政府デモが続き、インラック首相とデモ隊のリーダーとの会談が平行線に終わり、事態打開の糸口が見えないなか、治安部隊がデモ隊にゴム弾を発射するなど緊張が高まっています。


タイ、緊張情勢増す - ảnh 1
警察がデモ隊排除のために催涙弾を使用(写真:ロイター)

最新の動きとしては、反政府デモ隊のリーダーである野党・民主党のステープ元副首相は1日夜、インラック首相と会談し、「2日以内に無条件で国民に権力を返上する」よう直接要求しました。

これに対し、インラック首相は、「現行憲法下でどうやってそれが実現できるか分からない」と述べ、現状では要求を受け入れるのは憲法上難しいとの認識を表明し、拒否しました。

その上で、インラック首相は「対話を閉ざしたわけではない」と述べ、今後も話し合いを継続したい柔軟な姿勢を示しました。

こうした中、政府機関の占拠を続ける反政府デモ隊は2日夜(日本時間3日未明)、首相府の敷地への突入を開始しました。地元テレビの映像によりますと、デモ隊は警察が設置した3重の障壁をショベルカーなどを使って破りました。

警官隊は同日、催涙ガスのほか、ゴム弾も使ってデモ隊排除を図りました。デモ参加者2人が実弾で撃たれて負傷したとの情報もあります。医療関係者によりますと、2日の衝突では少なくとも97人が負傷しました。そして、デモが開始されて以来、死者4人、負傷者200人以上も出ているということです。

夜に入り、首相府付近では車両が炎上したり、爆発音も聞こえるなど緊迫度が高まっています。一方、警察当局は2日、デモを主導するステープ元副首相に対し国家反逆の罪で逮捕状を取ったことを明らかにしました。

最高で死刑となる可能性があります。しかし、ステープ元副首相は、抗議行動を続ける構えを崩しておらず、事態を打開する道筋が見えないなか、緊張が高まっています。

デモの拡大を受けて、バンコクでは2日、日本人学校や地元の大学や高校、およそ60校が臨時休校となっていて、市民生活へも影響が広がっています。

国際世論は「12月5日のタイのプミポン・アドゥンヤデート国王の誕生日を控え、緊張が一時的に減る可能性があるものの、タイの情勢が予断できなくて、クーデターが発生する可能性もある」との深い懸念を示しており、「安定を一日も早く取り戻すために当事者が自制して、事態打開のために、対話を継続するよう」呼びかけています。

ご感想

他の情報