既にお伝えしましたように、アメリカのジョー・バイデン大統領によるベトナムの国賓訪問の枠内で、11日、ハノイで、投資とイノベーションに関するベトナム・アメリカ首脳会議が開催されました。会議にはファム・ミン・チン首相とバイデン大統領のほか、両国の多くの大手企業の代表も出席しました。これは、ベトナムとアメリカが関係を平和、協力、持続可能な開発のための包括的な戦略的パートナーシップに格上げした後、二国間関係の新たな柱とみなされる協力分野の一つです。

会議に出席したチン首相（右）とバイデン大統領（左）

越米包括的な戦略的パートナーシップの新たな柱

会議で発言に立ったチン首相は、ベトナムが2030年をめどに上位中所得工業国に、そして、2045年をめどに高所得先進国になるという目標を掲げていることから、科学技術、イノベーションを国の開発事業の重要なモチベーションの一つとして位置付けていることを明らかにしました。また、チン首相はベトナムの経済成長モデルの転換、経済構造の再編において、今後もアメリカ企業から資金と技術面における支援を引き続き受けられるよう望んでいると述べました。チン首相は次のように語りました。

（テープ）

「私の意見では、リソースは思考とビジョンから始まり、モチベーションはイノベーションから、力は人々と企業から生まれ、ベトナムとアメリカの包括的な戦略的パートナーシップは、新しい思考、新しいビジョン、新しいモチベーションを表現し、新しい力と新しい価値を生み出すものです。私たちは、調和のとれた利益とリスクを共有し、相手の成功は自分の成功であるという精神で、分かち合い、学び合い、助け合うために協力していきたいと思います」

バイデン大統領はチン首相の意見に賛成の意を示し、今は両国が投資やイノベーションの分野だけでなくあらゆる分野で関係を促進し、共通の繁栄をもたらす機会であると評価しました。また、バイデン大統領は、アメリカがチップ技術、半導体、イノベーション、グリーントランスフォーメーション、人材育成、地域と世界のバリューチェーンへのより深い参加においてベトナムに協力すると約束しました。

ハイテクサプライチェーンへの投資を加速

両国企業の新たな協力機会の実現可能性について、ベトナムのグエン・チ・ズン計画投資大臣は、ベトナムは、デジタル経済、グリーン経済、循環経済、知識による経済の発展に向けた投資を誘致する方針であると述べ、具体的にはハイテク、エレクトロニクス、半導体、イノベーション、再生可能エネルギー、水素などの新エネルギー、金融、インフラ、研究開発などの分野におけるプロジェクトを優先しているとしています。ズン大臣は、これらは多くのアメリカ企業の得意分野であるため、両国には協力の余地が大きいと強調しました。ズン大臣は、インテルやアムコアテクノロジー、マーベル・テクノロジー、グローバルファウンドリーズなど、アメリカの大手半導体企業に対し、ベトナムでチップと半導体のエコシステムを構築し、ベトナムでチップおよび半導体製品を設計するためのトレーニング、研究開発センターを共同で建設するよう提案しました。

両国関係を包括的な戦略的パートナーシップに格上げするという共同宣言の中で、アメリカはベトナムの半導体分野の人材育成に200万米ドル相当の初期助成金を提供することを約束しました。一方、航空分野では、ベトナムは地域規模の部品製造エコシステムと機械設備メンテナンスセンターの開発においてボーインググループを支援することを約束しました。

この会議では、ベトナムと米国の企業14社が、テクノロジーとイノベーション、製造業、金融とフィンテックサービス、貿易とサービスといった4つの主要分野に焦点を当て、投資協力の機会についてオープンで率直かつ実質的な議論を行いました。ベトナム企業は、金融、ハイテク、再生可能エネルギー、グリーン転換、クリーン燃料生産、水素、航空宇宙、サイバーセキュリティ、人工知能の分野でアメリカ企業と協力することに関心を示しました。一方、アメリカ企業は、半導体、電子チップ、5Gネットワーク開発、人材育成、スタートアップ、イノベーションにおいてベトナム企業と協力する用意があるとしています。

経済専門家らによりますと、ベトナムとアメリカの経済関係の最も重要な特徴の一つは、両国の経済の高度な補完性です。したがって、二国間関係の格上げにより、ベトナム企業はアメリカ企業との協力やアメリカ市場での事業拡大を通じて、グローバルバリューチェーンにさらに深く参加する機会が得られることになるとしています。