テロの影

国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者がパキスタンの潜伏先でアメリカ軍特殊部隊に殺害されてから5月2日で2年を迎えました。2年前のこの日に、アメリカをはじめ国際テロ組織の標的とみられる多くの国はこの情報を最大ニュースとして喜んでいました。


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各国は「ビンラディン容疑者の死は国際テロ組織アルカイダとの戦いで最も大きな成果で、アルカイダの組織は弱体化していく」との楽観的な見方を示していました。しかし、現在もテロの危機はまだ多くの国に暗い影を落としています。

アメリカのボストンマラソン爆発事件はこれを証明する例の1つです。4月15日にアメリカ東部ボストンで開かれたマラソン大会で爆弾事件が起き、3人が死亡、170人以上が負傷しました。アメリカ本土でテロの犠牲者が出るのは、ビンラディン容疑者が首謀者とされていた2001年9月の同時多発テロ事件以来です。この事件はアメリカが抱える「テロ」のリスクを浮き彫りにしました。

アルカイダなどのテロ集団が関与したのかどうかも特定されていないものの、2011年のアルカイダ指導者ビンラディン容疑者の殺害をふまえ、テロとの戦いの成果を強調してきたオバマ政権にも打撃となっています。

オバマ政権はビンラディン容疑者殺害後、新たなテロ対策を打ち出しましたが、その背景には、ビンラディン容疑者の殺害などでアルカイダ中枢が壊滅し、アメリカ本土に対するテロの脅威が低下したことで、政権の優先課題を「対テロ戦争」から「経済再生」に移せるとの判断がありました。


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特に、オバマ大統領は昨年の大統領選挙キャンペーンで「アルカイダは壊滅途上だ」とテロ対策の成功を強調し、再選を果たしました。実際、アルカイダの活動が北アフリカなどで活発になっており、反米テロも相次ぐなか、今度はアメリカ本土で再びテロの脅威にさらされています。

テロは糾弾すべき暴力です。そして、テロとの戦いのための武力行使も暴力です。そこで、暴力で暴力を停止するという方法が効果をあげるかどうかとの疑問が浮上しています。

ビンラディン容疑者の死によりアルカイダの組織が弱体化している事実は否定できないものの、現在の状況から見れば、今後も対テロ戦が引き続き激化するといえます。

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