現地時間の2月28日、アメリカのトランプ大統領は上下両院の議員を前に施政方針を示す初めての演説を行いました。その中で、任期中に実施する自らの計画を明らかにしました。この演説は世論の積極的な反応を受けています。
(写真:
AFP/TTXVN)
1月20日行われた就任式での悲観的な演説と違って、今回、トランプ氏は穏健な言い方で楽観的な見方を示し、国家団結を目指していると評されています。
任期中の目標
この演説の主なテーマは「アメリカ精神の復活」です。その冒頭で、トランプ大統領はユダヤ系のコミュニティーセンターを標的にした脅迫や、銃撃事件を非難した上で、国民の団結をアピールしました。
経済問題に関して、トランプ大統領は、「フォード・モーターやソフトバンクなど多くの企業が米国に数十億ドルの投資をすると発表した。多くの仕事が国内に生まれる。株式市場は時価総額が3兆ドル増えた」と明らかにすると共に、「アメリカ再建のため、国内インフラ建設に1兆ドルの投資を生む法案の承認を議会にお願いしたい。何百万もの新しい仕事が生まれる。これらは二つの原則で導かれる。アメリカの年平均成長率を少なくとも3%の程度に維持したい」と訴えました。
教育問題に関して、両党の議員に対し、恵まれない若者たちが学校を選べるために資金援助を行う教育の法律を成立させるよう求めました。
不法移民対策では、国境への壁建設に早期に着手すると表明し、「わが国の社会を脅かし、無実の市民を食い物にするギャング団のメンバー、麻薬密売人、犯罪者らは追い出す」と強調し、一律の不法滞在取り締まり強化や強制送還を掲げてきた従来の姿勢から、犯罪者に標的を絞る構えをにじませました。
過激派組織「イスラム国」に関しては、イスラム圏を含む同盟・友好国と協力して「世界から抹殺する」と宣言しました。一方で、一部イスラム圏国民の一時入国禁止では、連邦裁判所による大統領令の差し止め決定を踏まえ、近く新たな措置を講じる考えを示しました。
世論の好評
トランプ米大統領の演説に好感が広がっていることが最新の世論調査で分かりました。攻撃的言動を封印し、前向きなメッセージを訴えたのが要因と分析されています。
支持率が低迷する中、求心力回復を図るトランプ氏は側近とともに演説を猛特訓するなど入念に準備していたと伝えられますが、演説で見せた穏健な路線を今後も維持できるか懐疑的な見方もあります。アナリストらの間では「大統領らしかった」との評価が出されました。
こうした中、演説から一夜明けた1日、トランプ大統領は与党・共和党の指導部に対し、演説で示した政策の実現に着手することを宣言した上で、改めて協力を求めました。