アメリカのABCテレビは日本時間の9日午後5時前に共和党のトランプ氏の当選が確実になったと伝えました。ABCテレビによりますと、トランプ氏は新たに中西部ウィスコンシン州とアラスカ州で勝利を確実にし、すでに制した26州と合わせて278人の選挙人を獲得し当選に必要な過半数の270人を超えました。
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当選を確実にしたドナルド・トランプ氏が、ニューヨーク・マンハッタン中心部にあるホテルに姿を現し、勝利宣言を行い、「全ての国民の大統領になる」、「米国でこれまで忘れられてきた人々は、もう忘れられることはない」と語りかけました。また「米国は分裂の傷を乗り越え、団結すべき時だ」とも呼びかけました。
強い経済をつくる決意
トランプ氏は勝利演説の中で、「これからすばらしいことがあるだろう。インフラも再建し、何百万人の国民に働いてもらう。アメリカの成長を2倍にし、世界中のどこよりも強い経済を作る」と述べました。
「ビジネスの経験を生かし、米国に貢献したい」とも主張し、内陸部の都市や高速道路などのインフラの整備を誓いました。
過激な発言で話題を集めたトランプ氏は、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンを掲げ、現状に不満を抱く有権者から熱狂的な支持を集めました。トランプ氏は「クリントン氏とも激しく戦った。彼女はこれまでこの国に尽くしてくれた。今こそこの分断の傷を修復し、ともに結束していくときだ」と述べ、クリントン氏の健闘をたたえ結束を訴えました。また、「あなた方をがっかりさせないと約束する。われわれは素晴らしい仕事をしていく。あなた方の大統領になれることを楽しみにしている。選挙戦はこれで終わりだが、この運動はまさに今始まったばかりだ」と述べ、次期大統領の就任に向けた決意を表明しました。
第45代大統領の重い責任
トランプ氏は、1946年6月14日生まれの70歳で、これまでで最も高齢の大統領になります。これまでに、政治経験がなく大統領になったのは、アイゼンハワー元大統領など3人で、トランプ氏はアイゼンハワー元大統領以来、56年ぶりとなります。大統領就任後、トランプ氏は大きな試練に直面するとされています。新大統領としてトランプ氏はシリア問題やロシアとの関係、欧州諸国との関係、テロとの戦い、また、公的債務、社会不公平、人種差別、移民問題など、様々な差し迫った問題の解決を余儀なくされます。
なお、アメリカ合衆国憲法により、大統領選挙一般投票翌年の1月20日正午(アメリカ東部標準時)より新大統領の任期が開始されることになります。