
アフリカのナイジェリアで政府が今年に入り、燃料補助金を打ち切ったことから、ガソリン価格が急騰し、各地で抗議デモが発生し、警官隊との衝突から死者も出る事態に拡大しています。
ナイジェリア政府が1日、燃料補助金を打ち切ったことからガソリン価格はそれまでの2倍の1リットル当たり140ナイラ(約73.6円)まで跳ね上がりました。ナイジェリアは大半の人が1日2ドル(約150円)以下で暮らす国です。
首都アブジャで2日に行われた抗議デモに対し、警察は催涙ガスを使用しました。3日には中西部の都市クワラで抗議に参加していた男性1人が死亡しました。3日は経済の中心都市ラゴスや北部最大の都市カノでも抗議行動が相次ぎました。
ラゴスでは約200人が主要道路でデモをするなど、1日がかりで抗議を展開しました。抗議の参加者たちは少なくとも1軒のガソリン・スタンドを荒らし、他のスタンドもガソリンを売らせまいとする群衆によって封鎖されました。一方、抗議集会の周辺では群衆がタイヤを燃やすなどしました。警察はラゴスでもデモを散らそうと催涙ガスを使用しました。
一方、カノでは抗議行動を未然に阻止しようと、座り込みの計画について地元のサッカー場で相談していたグループのうち、主催者の9人を一時拘束しました。
これまで、ナイジェリアで発生する抗議行動の多くは徐々に失速し、消えていくことが多かったですが、燃料補助金問題は全国民が一致団結する数少ない問題のひとつで、今回も抗議行動が広範囲に拡大しました。
ナイジェリア政府や経済学者は、痛ましいほど整っていないインフラへの投資を強化するために、燃料補助金の打ち切りが必要としています。政府によりますと2011年の燃料補助金による支出は80億ドル(約6130億円)でした。
こうした中、昨年末からテロ攻撃を活発化させているイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」のリーダーがビデオメッセージを出し、キリスト教徒を狙ったテロを正当化しました。
2009年に壊滅的打撃を受けたボコ・ハラムはその後、テロ攻撃を先鋭化させ、去年のクリスマスには教会などで合わせて42人が犠牲になる同時テロを行いました。
ジョナサン大統領は大晦日に、北東部などに非常事態宣言を出しましたが、乱射などのテロはやまず、先週1週間だけでも68人が犠牲になっています。「ボコ・ハラム」は、去年4月の大統領選挙で再選されたキリスト教徒のジョナサン大統領への反発を強めています。