パキスタン情勢

パキスタン選挙管理当局は、11日の同国の国民議会選挙で14日午前の段階でパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派が116議席を確保したと発表しました。これにより、ナワズ・シャリフ元首相は次期首相の座を確実にしました。しかし、シャリフ氏と新政府は様々な問題に直面すると予想されています。


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選挙後のシャリフ氏の最初の演説(写真:VOV/AFP)

まず、経済問題です。シャリフ氏自身も「パキスタンは厳しい状況にある」と認めています。また、専門家によりますと、2013年のパキスタン経済は引き続き厳しい状況が予想されています。同国政府は2012~2013年度の実質GDP成長率について、目標値の4.3%を下回る4.0%と予測していますが、IMF=国際通貨基金は3.0ないし3.5%、ADB=アジア開発銀行は3.7%と、さらに低めの予測をしています。

拡大する労働人 口などを考慮すると5.0%以上の成長率が望まれる中で、2013年には総選挙、大統領選挙が実施されます。新政府、新大統領の下で、内外の信頼を獲得し、 民間投資や海外直接投資を通じた雇用創出をてこに高い経済成長につなげたいところだということです。

一方、テロ問題も深刻化しています。今回の選挙期間中発生した暴力事件により、死者110人、負傷者350人出ています。特に、投票日の11日にパキスタン全土で、40件の暴力事件が発生し、32人が死亡、224人が負傷しました。

さらに、対外活動も大きな課題と見られます。その中で、隣国インドや、アメリカ、アフガニスタンなどとの関係の今後の動向は世論の注目を集めています。シャリフ氏は13日、隣国インドについて「首相就任の宣誓式にはシン首相を招待したい」と述べ、関係改善に意欲を示しました。パキスタンがインド首相 を宣誓式に招くのは初めてで、実現すれば「歴史的なこと」となると評されています。

インドとの関係改善についての語り口がおおらかなのに対し、アフガニスタン国境付近の治安回復の必要性については逃げともとれるほどの慎重な態度で、その違いが際立っています。5年前のムシャラフ氏の失脚以降は正式に国を統治していないとはいえ、パキスタン軍が外交、防衛政策の手綱(たづな)をしっかりと維持していることがシャリフ氏の姿勢が異なる理由です。

こうした中、アナリストらは「シャリフ首相率いるパキスタン新政府の今後の道のりは容易ではない」と指摘しています。

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