パキスタン情勢


9日、パキスタンの首都イスラマバードの大統領府で、ザルダリ前大統領の任期満了に伴うパキスタン大統領選挙で当選した与党PML(N)=パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派のマムヌーン・フセイン元シンド州知事が宣誓を行い、大統領に就任しました。任期は5年です。

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フセイン新大統領(写真:VNA)

建国以来、断続的に軍政が続いたパキスタンで、文民大統領が任期を全うした上で交代したのは初めてですが、フセイン大統領にとって、今後の道のりは容易ではないと予想されています。

大統領は象徴的な位置付けで、政治的な実権は6月に就任したシャリフ首相が既に握っています。野党第1党PPP=パキスタン人民党のザルダリ氏からフセイン氏への大統領交代により、シャリフ政権は基盤を固め、低迷する経済の立て直しなど重要課題に取り組む体制を整えました。

フセイン氏はシャリフ氏の「腹心」とされます。第2次シャリフ政権時代の1999年にシンド州知事を務めましたが、当時のムシャラフ陸軍参謀長による軍事クーデターを受け辞任しました。その後も、PML(N)を支え続けました。

PML(N)は5月の総選挙で勝利し、下院の単独過半数を確保しています。フセイン氏は7月、上下両院と4つの州議会の議員による大統領選で有効投票数の8割以上を獲得し、当選しました。しかし、今後のパキスタンの行方は予断しにくいと評されています。

まず、経済問題です。この長年、同国のGDP=国内総生産の伸び率は低い水準にとどまっています。統計によりますと、2012年のその成長率は3・7%で、そして、今年に3・5%に、来年に3・3%に低下すると予測されています。

従って、失業問題と予算の赤字問題が深刻化しています。同国政府は予算赤字額をGDPの4・7%に相当する水準に抑制するという目標を設定していますが、専門家らは「これは実施しにくい目標だ」と指摘しています。特に、現在、パキスタンは深刻なエネルギー危機に直面しています。

それに加えて、治安状況も大きな問題となっています。近年、パキスタンでは、タリバンとアルカイダによるテロ攻撃が頻発しており、深刻化する傾向にあります。

そのほか、インドやアフガニスタンなどとの外交関係においても様々な困難があります。これらの困難を解決するためには時間がかかるのは当然です。

こうした中、アナリストらは、「新大統領はこれらの問題を解決するためにどのような措置を取るかが焦点となる」との見方を示しています。

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