ベトナム 違法漁業に適用されているEUのイエローカードの解除に取り組む
(VOVWORLD) - EU=欧州連合はIUU=違法・無報告・無規制漁業への対処が不十分であるとして2017年10月、ベトナムの水産物にイエローカードの適用を決定しました。
これまで、政府と農業農村開発省をはじめとする関連機関は、IUU漁業対策やEC=欧州委員会の勧告の対処に取り組んできました。3回にわたり、欧州委員会の査察団がベトナムの代表との会合を行った後、ベトナムは適切な解決策を講じ、前向きな成果があったが、解決すべき問題が残っていると指摘されていました。ベトナムはイエローカードの早期解除を目指し、来る6月に予定されている欧州委員会の査察団との第4回会合に向けて準備をしています。
ECの勧告に従い、ベトナムはこの5年間で2017年の水産法の発布をはじめ、法的枠組みの完備や漁船監視システムの設置、水産物のトレーサビリティシステムの導入などに尽力し、イエローカードの解除を働きかけてきましたが、実現には至っていません。
イエローカードの解除に取り組む決意
イエローカードの適用はベトナムの水産物の輸出に多大な影響をもたらしています。これを十分に認識し、政府は2月13日、「IUU対策、およびECの査察団との第4回会合の準備に関する行動計画」を発布しました。これに基づき、今年5月までに、漁船の登録、検査、識別番号表示、漁業権免許証の発行、漁船監視システムの設置を完了させることになります。また、漁船監視システムを通じて全ての漁船の海上での動きを24時間検査、監視し、地方レベルの漁業検査隊の発足を加速させます。
そのほか、漁業、違法・無報告・無規制漁業の対策に関する国際協力を展開し、締結済みの協定、国際条約に対するベトナムの義務、公約を十分に履行する方針です。さらに、海外での違法漁業を即時に中止し、違法・無報告・無規制漁業を行う全ての行為を厳格に処分すると同時に、IUU防止対策に関する宣伝活動が集中的に行われる必要があるとしています。
認識向上
現在、EU諸国向けの水産物の輸出額はベトナムの水産物輸出総額のおよそ11%から12%を占め、数十億ドル規模のこの輸出市場は労働者5百万人以上の生計を支えています。イエローカードが解除されない場合、水揚げされた水産物は輸出に際し、多くの障壁に直面する恐れがあります。このことから、IUU漁業や法律順守への漁民の認識向上は第一の任務に位置づけられています。と、同時に、沿海地方はイエローカードの早期解除を目指し、漁船の操業を監視していく方針です。
南部キエンザン省は国内最多の漁船を有し、全国の水産物の漁獲量全体の16%を占めており、政府に対して、地元の漁業検査隊の設立を支援するよう提案しました。また、同省は6か月にわたり、IUU漁業対策を厳格に実施するとともに、IUU漁業を厳格に処分することを確約しました。同省人民委員会のレ・クォク・アイン副委員長は次のように語りました。
(テープ)
「我が省は国内最多の漁船を有しています。違法漁業を厳格に処分しない限り、政府の行動計画をなかなか実施できないでしょう。一方、公安部隊をはじめ、当局者に対し、違反者の発見に取り組むよう要請します」
数年にわたり、IUU漁業対策の実施は実の成果があったものの、漁船の厳格な管理とともに外国の海域での違法漁業の根絶が図られない限りイエローカードの解除は難航するだろうとしています。農業農村開発省のフン・ドク・ティエン次官は次のような見解を述べました。
(テープ)
「世界経済への統合を進めるベトナムは、持続可能な漁業の開発を目指し、国際組織の規定を順守しなければなりません。そのためイエローカードの解除は重要な任務と定められました。全政治システムと省庁、地方の緊密な連携や努力、政府、首相の適切な指導により、年内にイエローカードの解除ができるでしょう」
年内のイエローカードの解除を目指し、ベトナムは欧州委員会の査察団との第4回会合の準備に尽力しています。ECの視察はイエローカードの早期解除を働きかけるとともに、持続可能で責任ある漁業の発展と国際統合に対するベトナムのコミットメントを確認するための機会になるとしています。