ベトナムのグェン・タン・ズン首相の招きに応え、ハイチのローラン・サルヴァドール・ラモット首相は16日から3日間の予定でベトナム公式訪問を開始しました。ハイチ首相の今回のベトナム訪問は両国間の友好協力関係を強化するよい機会となります。

ハイチ共和国は中南米カリブ地域にある列島で、東はドミニカ共和国に隣接しています。ハイチは後発の発展途上国で、ラテン・アメリカ地域にある各国の中でも低所得国です。ハイチの経済構造は農業が25%、工業は16%、サービス業が59%を占めています。主な農業製品はコーヒー、砂糖キビ、バナナ、トウモロコシ、米などです。ハイチでは食品加工、冶金、紡績縫製、機械製造が発展しています。2011年のハイチの輸出総額は7億2千万億ドルで、その内の83%はアメリカ向けです。主な輸出品目は繊維製品、カカオ、マンゴー、コーヒーで、輸入総額は33億ドルで、主な輸入品は食品、機械、生産設備、原材料です。
ベトナムとハイチは1997年9月26日に外交関係を樹立しました。地理的には遠く離れていますが、両国関係は良好に発展してきました。特に、2010年1月12日にハイチで発生した大地震により、同国の国民30万人の命が奪われました。これを前に、ベトナム共産党と政府はハイチの指導者にお見舞電を送った他、ベトナム赤十字社協会を通じて、15万米ドルを支援しました。
両国間の貿易投資関係は年を追って増加していますが、その取引総額はまだわずかなものです。2011年の両国間の取引総額は4千万ドルに、2012年の6ヶ月間にその金額は1900万ドルに達しました。ベトナムはハイチから紡績縫製の原材料、革靴、バブル、飼料などを輸入しています。一方、ベトナムはハイチに繊維製品、竹や籐細工、木材と木材製品、即席麺、化学物質、プラスチック製品などを輸出しています。2010年、ベトナム軍隊通信グループベトテルとハイチのテレコム S.Aによる合弁により、NATCOM S.A社が設立され、その投資総額は1億米ドルです。この合弁は2011年9月7日から活動を開始しました。2012年9月現在、NATCOM S.A社はハイチの携帯電話市場の20%シェアを占めています。現在、ハイチで仕事をしているベトナム人は220人ほどです。
ハイチは小さい国で、一人当たりの所得は低い水準にありますが、ハイチはベトナムの有望な輸出市場です。その他、ベトナムは情報通信、紡績縫製、家電製品、プラスチック製品生産などの分野における協力の潜在力があります。また、ベトナムは農業、教育、医療などの分野において、ハイチと経験交換、及び、協力ができます。ベトナムとハイチは国際諸組織とフォーラムの場においても良好な関係を結んでいます。現在、ハイチは国連、OAS米州機構、カリブ共同体、ILO国際労働機関、WTO世界貿易機関などの加盟国です。
ハイチのローラン・サルヴァドール・ラモット首相による今回のベトナム訪問は両国間の友好協力関係を強化するよい機会となることでしょう。