
すでにお伝えしましたように、ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席はブルネイのボルキア国王、ミャンマーのテンセイン大統領の招きに応え、11月27日から3日間のブルネイ訪問を開始し、また、11月29日から12月1日にかけてミャンマー訪問を行います。これらの訪問はベトナムがASEAN=東南アジア諸国連合加盟国との関係の強化を希望していることを示すものとなります。
サン主席によるブルネイ訪問は両国が外交関係樹立20周年を記念している中、行われるものです。1992年2月の外交関係樹立以来、両国の関係が順調に発展しています。政治関係に関しては、2007年、グエン・タン・ズン首相はブルネイを訪問しました。そして、ブルネイのボルキア国王は2010年4月ハノイで開催された第16回ASEAN首脳会議、および、同年10月の第17回ASEAN首脳会議に出席するためベトナムを訪問しました。そのほか、去る2月、ファム・ビン・ミン外相はブルネイ公式訪問を行いました。
貿易関係に関し、両国の商取引額は年平均数百万ドルの程度にどとまっていますが、投資分野で、9月末現在、ブルネイはベトナムに49億ドル相当の129件の投資プロジェクトを行っており、投資国の中で12位にたっています。一方、ブルネイに対するベトナムの投資プロジェクトは1件あります。しかし、文化、教育、観光分野における両国の関係が大きく発展しているとはいえず、国防分野での協力も各レベルの軍人代表団による相互訪問、信頼醸成という程度にとどまっています。ただ、両国は国防協力に関する覚書に調印し、国防代表事務所を設立しています。
更に安全保障分野に関し、ベトナム公安省はブルネイの関係各機関と協力を維持していますが、具体的な協力計画を展開していません。双方の協力は主にASEAN地域フォーラムや国際刑事警察機構、ASEAN刑事警察機構などを通じて行われてきたものです。こうした背景にサン国家主席による今回のブルネイ訪問はブルネイとの友好と多面的な協力関係を重視するというベトナムの一貫した政策を示すと同時に両国の関係の強化措置について協議する機会となります。
ブルネイ訪問後、サン主席は11月29日から3日間のミャンマー訪問を行います。これは経済、貿易、投資を中心とする両国の協力関係を新たな発展段階に押し上げるため、行われるものとみられます。今年9月現在、両国の商取引額はおよそ1億6千万ドルに達し、昨年同期と比べ、29%増となっています。これまで、双方は貿易見本市の開催や直行便の就航など貿易振興に取り組んできましたが、総合的にみれば、経済、貿易、投資関係の発展がまだ遅れて、両国の潜在力に見合っていないと評されています。
現在、両国は各地方間の姉妹関係の発展を進め、経済協力の強化を図っています。具体的には南部バリア・ブンタウ省はミャンマーのタウンジー州と水産物の水揚げ、養殖、加工での協力を進めている一方、アンザン省はエヤワディ管区と水稲の栽培や水産物の養殖、加工で協力し合っています。また、ホーチミン市とヤンゴン管区は友好協力関係の設立に関する覚書に調印しました。しかし、締結された多くの協力協定や合意書はまだ実施されていません。林業分野に関し、ベトナムゴムグループはミャンマーでの20万ヘクタールのゴム栽培プロジェクトを研究していますが、プロジェクトの投資協力合意書の調印に至っていません。
一方、1994年、観光協力協定を締結しましたが、同協定は効を奏していません。こうした事情を踏まえ、サン主席の訪問を機に、両国の指導者らは貿易、投資、農業、漁業、石油ガス、建設などの分野における協力の促進に向け、適切な措置について討議します。また、地域と国際問題についても話し合う予定です。
この訪問はベトナムとミャンマーとの友好協力関係を新たな発展段階に押し上げると期待されています。