この20年間、ベトナムは貧困率を1993年の58・1%から10%以下に削減しました。しかし、これまで達成されてきた成果の維持過程において、ベトナムは多くの試練に直面しています。例えば、多くの世帯が貧困状態に戻ること、各地方間の発展格差が大きくなっていることなどです。
それに加えて、都市部において新しい貧困形態が出ています。こうした中、ベトナムは新段階に相応しい措置を取る必要があると指摘されています。
最初の問題は貧困解消に関連する政策です。ベトナムは全面的な飢餓一掃貧困解消政策システムを持つ国と評価されていますが、新段階には力の分散や、二重体制などの問題につながっていると指摘されています。専門家らは「これらの政策を再編・改正する必要がある」と訴えています。
労働傷病軍人社会事業省所属の国家貧困解消目標プログラム事務所のゴー・チュオン・ティ所長は次のような見方を示しています。
(テープ)
「今後、政府は政策の対象の範囲を貧困ラインに近い層と貧困状態から脱出したばかりの家庭にも拡大させる必要があると思います。第2は、無償援助から条件付き援助へとシフトしなければならないことです。第3は、貧困状態から抜け出すための期間を規定することです。具体的には、貧困世帯が支援を受けてから3~5年後、貧困状態から脱出できなければ、その支援を受けなくなるということです」
また、貧困指数に関するアプローチ方法を一次元から多次元にシフトさせる必要があることも取り上げられています。具体的には、貧困定義をする時、これまで適用されてきた収入に関する基準だけでなく、ほかの基準を導入することも必要であるとしています。
先ほどのティ所長は次のように語りました。
(テープ)
「貧困者支援を進めていますが、対象を見逃したこともあります。その支援の対象は各家庭です。家庭でなければ支援を受けないのですね。このため、貧困者の一部は支援を必要としていますが、その支援を受けません。これらは、子孫と共に生活する高齢者や、出稼ぎ労働者などです。この面から見ると、貧困指数に関するアプローチ方法を一次元から多次元にシフトさせることは重要だといえます。これにより、支援対象確定と政策制定に基礎を作り出します」
一方、少数民族居住地や、遠隔地、離島を優先対象とすることも提案されています。これに関し、労働傷病軍人社会事業省のファム・ティ・ハイ・チュエン大臣は次のように語りました。
(テープ)
「今後も特別に困難な地域や少数民族居住地向けの優遇措置を強化していきます。また、これらの対象者向けの政策を改正します。これらの地域での持続的な貧困解消のために、社会全体の力を集める方針です」
エコノミストらは「これらの3つの問題を徹底的に解決できると、ベトナムの貧困解消事業はさらに大きな成果を収めるであろう」と期待しています。