ベトナム東部海域を独占する中国の意図

(VOVWORLD) -この活動は地域内の平和、安定を脅かし、ベトナムを含め、各国の海上航行の自由と経済開発権利を侵犯しています。

さる7月3日以来、中国の海洋調査船「海洋地質8号」がベトナム東部海域、いわゆる、南シナ海にあるベトナムの排他的経済水域内にある「バンガード堆(たい)」で原油の探査活動を続けてきました。これはベトナムの排他的経済水域内で展開されたことから、ベトナムと中国が締約している1982年の国連海洋法条約を基礎に、ベトナムの主権的権利と管轄権を侵犯しています。

また、この活動は地域内の平和、安定を脅かし、ベトナムを含め、各国の海上航行の自由と経済開発権利を侵犯しています。

ベトナムの排他的経済水域の主権を侵犯

DK1を含め、チュオンサ諸島(スプラトリー)の西側にある「バンガード堆(たい)」と呼ばれる場所はベトナムの排他的経済水域内に位置しています。これは1982年の国連海洋法条約を基礎に定められ、中国を始め、他の国々と紛争していません。公安省戦略研究所のレー・バン・クオン(Lê Văn Cương)元所長は次のように語りました。

(テープ) 

「1982年の国連海洋法条約は一カ国の排他的経済水域で、外国が石油探査や開発、漁業活動を行った場合、所在国の許可を得なければならない。所在国の許可を得ないまま、これらの活動を行うのはその国の権利的主権と管轄権に違反すると明記しました。これを基礎に、中国のこの行為は1982年の国連海洋法条約を深刻に違反する行為であり、中国がASEANと締結したDOC=海上行動宣言にも違反しています。」

中国は自らの侵犯行為の理由として、「中国のこの行為は中国が主張している九段線の範囲内に行っている」とあげました。しかし、中国が主張しているベトナムの領有権に属する海域の60%を占めている九段線は国際法に認められていません。

ベトナムの領海を含めたベトナム東武海域(南シナ海)全域を囲んでいるこの九段線に関して、フィリピンは2014年に国連海洋法条約の違反や法的根拠がない権益の確認をオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に対して申し立てました。常設仲裁裁判所は2016年7月12日、九段線とそれに囲まれた海域に対する中国が主張してきた歴史的権利について、「国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」との判断を下しました。

国際法をも無視

中国の意図について、アメリカのアジア太平洋安全保障研究センターのアレキサンダーAlexander Vuving博士は次のように語りました。

(テープ)

「中国は国際法に関して、自らの主張を維持しています。中国はベトナム東部海域、いわゆる、南シナ海の領有権に理にかなわない要求を出しています。中国は一方的な力で、国際法を歪曲しています。中国はベトナムを含め、ASEAN加盟諸国に圧力を加えて、中国の要求に従って、COC=海上行動規範を採択することを図っています」

ベトナムの排他的経済水域内で続けている中国の海洋調査船「海洋地質8号」の活動はベトナムの領海における平和、安定、安全保障を脅かし、この海域を独占するという中国の危険な意図の一部であると言えることでしょう。

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