既にお伝えしましたように、7月6日から10日にかけて、ベトナムのグェン･フー･チョン共産党書記長はアメリカを公式訪問しました。歴史的だと評されているこの訪問は多くの成果を収めましたが、その中で、TPP＝環太平洋経済連携協定の交渉の早期完了につながる合意は達成できました。

TPPは、2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印しましたが、2010年3月にこの４カ国に加えて、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムの8カ国で交渉が開始されました。その後、マレーシア、メキシコ、カナダ及び日本が交渉に参加し、現在は12カ国で、アジア太平洋地域において高い自由化を目標とし、非関税分野や新しい貿易課題を含む包括的な協定として交渉が行われています。


ベトナム･米 TPP交渉の早期完了を目指す

ベトナムとアメリカは両方とも、TPP交渉を今年末に完了したいとの希望を持って、グェン･フー･チョン共産党書記長によるアメリカ訪問を交渉の新しい原動力と見做していました。そのため、TPPは、オバマ大統領との会談を始め、チョン書記長とアメリカの指導者や企業との会見の主な議題となりました。

その結果、今回の訪問で出された宣言では、両国は関係各国と密接に連携し、TPP交渉の早期完了を目指すことで一致しました。又、関係各国の間それぞれの利益のバランスが取れる質の高いTPPに向け、必要な改革を行なうことで合意しました。これらの合意は、TPP交渉の早期完了に弾みをつけるだけでなく、ベトナムとアメリカのとの経済協力に新しいページを切り開くと評されています。


ベトナム･米経済協力の拡大

ベトナム商工省によりますと、2014年の両国の貿易総額は360億ドルにのぼっています。アメリカはベトナムに投資している国と地域の中で7位に立っています。ベトナム商工省のヴ・フイ・ホアン大臣は、TPPが締結されれば、TPPお よび両国が締結した二国間協定は質的にも量的にも両国の経済協力を一段と拡大させることを確信していると述べました。

アメリカはベトナムに対し、チョン書 記長のアメリカ訪問後、両国の経済協力を促進する措置を徹底させようと期待を示しました。一方、ベトナムは、貿易障壁を撤廃し、ベトナム商品のアメリカへ の輸出に便宜を図ると共に、アメリカ企業によるベトナムへの投資を促進するよう呼びかけました。

アメリカはTPP加盟国の中で牽引役を果たしている一方、ベトナムは積極的な加盟国です。ベトナムとアメリカがTPP交渉の早期完了について合意したのは地域の経済統合だけでなく、両国の経済協力に大きな機会を与えると期待されています。