
チャベス前大統領の死去に伴う南米ベネズエラの大統領選挙は、チャベス氏の政策の継続を訴えたマドゥーロ暫定大統領が野党の統一候補を抑え、当選しました。
14日、投票が行われたベネズエラの大統領選挙は、チャベス大統領の後継者のマドゥーロ暫定大統領と、野党の統一候補、ミランダ州のカプリレス知事の事実上、2人の争いとなりました。
ベネズエラの選挙管理委員会は、現地時間の14日深夜、開票率99.12%の時点で、マドゥーロ氏が50.66%、カプリレス氏が49.07%の票を獲得し、マドゥーロ氏の当選が決まったと発表しました。
マドゥーロ氏は教育や医療の無償化や低所得者向けの住宅の建設など、福祉政策を充実させたチャベス氏の政策を継続すると訴え、国民の多数を占める貧困層を中心に支持を集めました。
選挙結果を受け、15日、南米諸国の指導者らはマドゥロ氏に祝電を送り、協力発展を進めると表明しました。キューバのラウル・カストロ議長は「マドゥーロ氏の勝利は故チャベス大統領の思想の力と成果を立証した」との見解を示しました。
一方、ボリビアのモラレス大統領は「この勝利はラテンアメリカ諸国の共通の勝利であり、UNASUR=南米諸国連合やCELAC=ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体、ALBA=米州ボリバル同盟などの団結の強化に寄与するであろう」と強調しました。
選挙管理委員会による当選発表を受けて、マドゥーロ氏は首都カラカス中心部の大統領府で大勢の支持者を前に演説を行い、「皆で勝利を祝福しよう。私はベネズエラを平和で力強い国にする。偉大なチャベス前大統領の後継者として私がどのような政治を行うか見てほしい」と訴えました。
そのうえで、野党側のカプリレス氏が選挙の結果に疑いがあるとして票の数え直しを求めていることについて、「私はこわくはない。確認をすれば真実が明らかになるだろう」と述べ、数え直しに反対はしない考えを示しました。
元バス運転手、労働組合幹部を経て政界入りしたマドゥロ氏は、「21世紀の社会主義」のスローガンを掲げたチャベス路線を継承し、300万世帯に対して2018年までに無償住宅を与えるほか教育や医療の無料化を続ける方針です。
今後、対外的にはチャベス氏の下で続いた強硬な反米路線を継続し、キューバやイランなど反米の立場をとってきた国々との関係を深めていくものとみられます。