(VOVWORLD) - 南米ベネズエラのマドゥロ政権は4月30日、「暫定大統領を宣言したグアイド国会議長の呼びかけによるクーデターは失敗した」と発表し、「軍の一部はグアイド氏に同調したが、政権が軍を掌握している」と強調しました。
(写真:VNA)
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政治的な混乱が続く南米ベネズエラで、暫定大統領就任を宣言してアメリカの支援を受けるグアイド国会議長は首都カラカスの空軍基地に入り、軍に決起するよう呼びかけました。政権側は、これをクーデターとみて、調査を進めています。
国際社会の反対
国際世論はこの事件に特別な関心を寄せています。NAM=非同盟運動諸国は、ベネズエラの内政に干渉しないと確認するとともに、国際社会に対し、ベネズエラの主権を尊重するよう呼びかけています。また、南・中央・北アメリカの13カ国から構成されたリマ・グループは5月3日にこの問題に関する緊急会合を開く予定です。
キューバ側も、「ベネズエラを含めラテンアメリカ諸国の主権を尊重する必要がある」と強調しています。他方、イラン外務省のムーサヴィー報道官が、「騒乱はベネズエラの政治的な対立の解決策にはならない」と指摘しました。
ムーサヴィー報道官は、「イランはベネズエラ情勢を注意深く見守っている」とし、「ベネズエラの政治的対立の最良の解決策は、対話を実施すること、同国合法政権の主導のもと、国民の問題解決に向け、すべての関係勢力の間で必要なメカニズムを設定することだ」と述べました。
一方、欧州委員会も、「平和的かつ政治的解決策」を呼び掛けています。特に、イギリスのテリーザ・メイ首相は、「平和的解決策に集中する必要がある」と主張しています。ロシア側も、「すべての問題は交渉を通じて解決すべきだ」と強調し、武力行使に反対しています。
政権側の姿勢
このクーデターは失敗しましたが、ベネズエラ内政の複雑な状況を示すものと評されています。マドゥロ大統領はテレビ演説で、自身が軍に対する統制を失ったとの見方を否定し、「帝国主義勢力がベネズエラを隷属させようとして正統な政府への攻撃と転覆を図っている」と主張しました。さらに、「これまで我々はさまざまな形のクーデターに直面してきた」と説明しました。
グアイド氏が決起を呼びかける舞台となった空軍基地については、一度も野党勢力の手に落ちたことはないとしました。その上で、マドゥロ大統領は、5月4日と5日に、国家規模の対話に関する計画を発表すると明らかにしました。これは、現在の行き詰まりの状態を打開するための措置とみられています。
ベネズエラは困難な状況にあります。そして、その状態から脱出することは死活問題となっています。こうした中、アナリストらは、「クーデターは問題解決に役立たず、平和的対話はあらゆる紛争の効果的な解決策だ」と分析しています。