モルシ大統領就任から1年を迎えるエジプトの情勢

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モルシ大統領辞任を求めるデモ

今月30日はエジプトのモルシ大統領就任から1年目となります。就任式でモルシ氏は「自由と真の民主主義の国家に向けて歩み出した。エジプトは、民衆による近代的な国家となる。」と、表明していました。しかし、この楽観的な宣言とは裏腹に、現在同大統領が1年前に、大統領選の結果が尊重されるべきだと指摘してきた人々への圧力により、辞職の危機に直面している、ということです。

モルシ大統領の就任以来1年で、政治、経済、社会など多くの面において、エジプト国民はモルシ大統領の指導能力に不満を抱いています。彼らは「この1年間、エジプトでは何らかの前向きな変革を見せなかった。」と指摘しました。エジプト経済は依然として厳しい危機的状態にあり、物価も昨年末と比べ倍増しているのです。エジプト財務省が今月20日に公表した数字によりますと、2012年7月から2013年5月までの11ヶ月に、財政赤字はGDP国内総生産の11,8%相当のおよそ3000億ドルにのぼり、昨年同期の赤字200億ドルと比べかなり増加しました。また、エジプトの対外債務残高は380億ドルに上り、15,5%増となりました。さらに、失業率も13%に達しました。

政治の場では、モルシ大統領は、一連の同胞団メンバーを新知事に任命しました。

これらの任命によって、イスラム出身者がエジプト全国の27の県と市での権力を掌握しています。

経済危機と権力強化が続いていることにより、エジプト国民の反発が強まっています。それにつれて、モルシ大統領の支持率が急落しています。17日にZogby研究所が発表した世論調査結果によりますと、モルシ大統領の支持率は28%に留まっています。この結果は1年前の57%と比べかなり低いものです。

一方、市民の不満は大統領辞任を求めるデモに変わってきました。IDC国際開発株式会社が公表した統計によりますと、モルシ大統領が就任して以来この1年間に同国で起こったデモの数は9427にのぼりました。この数は2011年に転覆した旧ムバラク政権と比べ7倍増となりました。それだけではなく、モルシ大統領への反発を強めている若者たちが今月30日に同大統領の退陣を求める全国一斉のデモを呼びかけています。
これに対し、モルシ大統領は、26日夜、国営テレビを通じて演説し、「さまざまな問題は前政権時代からのものだ。」と主張したうえで、「経済や治安がよくならないのは、デモが頻発しているせいだ。」などと若者らを非難しました。
こうしたなか、北部のマンスーラでは、大統領支持派と反対派の間で衝突が起き、保健省によりますと、1人が死亡、200人以上がけがをしました。
モルシ大統領が就任して以来、この1年は一連の不愉快な事件ばかりであり、エジプト政府に様々な試練をもたらしていることは明らかです。現在、エジプトは不安な状態に巻き込まれていることでしょう。

 

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