すでにお伝えしましたように、4日投票のロシア大統領選挙でプーチン首相が圧勝し、大統領返り咲きを決めました。プーチン氏は「われわれは正々堂々と戦って勝った」と大統領選勝利を宣言しました。しかし、現在のロシアの状況などから見れば、「第2次」プーチン政権の道のりは容易とはいえないようです。
アナリストらによりますと、プーチン氏の勝利には2つの大きな要因がありました。第1は、今回の大統領選に出馬しているプーチン氏以外の4人が新鮮味に乏しい野党指導者と、庶民の支持を得にくいロシア屈指の大金持ちという顔ぶれで、そもそも有力な対抗馬がいなかったということですです。また、プーチン陣営の選挙本部長も指摘していましたが、去年12月の下院議員選挙での不正疑惑をきっかけにした反対運動の盛り上がりが逆に陣営の危機感を高め結束につながりました。しかし、プーチン氏の「長期支配」や「強制的な手法」に異議を唱える声が消えたわけではありません。共産党や一部の市民団体が再び不正疑惑を指摘したことに加え、5日には早くも大規模な反政府集会が発生しました。こうした国民の声にどう応えていくのかが、当面の課題となりそうです。
さて、5月に発足する第2次プーチン政権は、国内に広がる閉塞感を払拭する意味からも積極外交を展開するとみられます。その主 な対象はアジアとみられます。9月に極東ウラジオストクで開かれるアジア太平洋経済協力会議首脳会議はプーチン次期大統領が主宰します。会議を通じてアジ ア諸国との連携を強化し、遅れた極東・シベリアの発展につなげる狙いがあります。
プーチン氏は、1日の外国メディアとの会見では日本との北方領土問題で「最終的な決着」に意欲を示し、「アジアを向くロシア」のシグナルを送り始めています。