ロ朝関係を巡る問題


9月30日、朝鮮民主主義人民共和国の李洙墉(リ・スヨン)外相はロシア訪問を開始しました。ロシア外務省によりますと、朝鮮外相のロシア訪問は2010年12月以来です。アナリストらは、「今回の朝鮮外相のロシア訪問は様々な目的がある」としています。


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ロ朝両外相が協力文書を交換(写真:ロイター)

朝鮮民主主義人民共和国は中国との関係の冷え込みを背景に、ロシアとの接近を図る思惑とみられます。ロシアのプーチン政権もウクライナ情勢をめぐる欧米との関係悪化を受け、朝鮮民主主義人民共和国との連携強化を探っています。

李外相は10月10日までロシアに滞在し、サハリン州や沿海地方など極東の各地も訪れる予定だということです。


関係強化と未解決問題

10月1日、モスクワで、両外相は会談し、北東アジアを舞台としたロ朝の経済協力強化を議論し、経済関係の強化など2国間の交流を活発化させることで一致しました。

会談のあと、ラブロフ外相は記者団に対し、「経済関係の強化について意見を交わした」と述べたうえで、「閣僚などさまざまなレベルでの交流を活発化させることで一致した」と明らかにしました。また、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記のロシア訪問を含む首脳レベルの交流に関し、「あらゆる選択肢は排除されない」と可能性を否定しませんでした。

さらに「ロシアから北朝鮮を経由して、韓国に電力を送る計画を推進する」と述べ、ウクライナ情勢を巡って欧米との対立が深まるなか、韓国も加えて東アジアへの関与を強める姿勢を強調しました。両外相は核問題についても話し合いました。

ラブロフ外相は朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイル開発を禁じた国連安保理決議の順守を求める立場を強調し、核開発を正当化する朝鮮側と議論が平行線をたどったことを認めました。その上で、核問題をめぐる6カ国協議の再開は可能と述べながらも「一定の時間が必要だ。関係各国の合意も必要だ」との認識を示しました。

このところロシアは、核問題が解決していないことがロシアと朝鮮の協力を妨げているとの立場を示していました。


急接近

朝鮮民主主義人民共和国は最近、日本だけでなく、ロシアにも急接近し、特にエネルギー、物流分野での協力を進めています。KOTRA=大韓貿易投資振興公社によりますと、昨年 のロシアの対北輸出額は9651万ドル(約106億円)で前年比49%増となり、石油・アスファルト類の輸出も急増しており、朝鮮がエネルギーの供給源にしたい狙いもうかがえます。

アナリストらは「中国依存の脱却を目指す金正恩政権と東アジアでの発言力を高めたいプーチン政権の思惑が重なっていることから、今後、ロ朝関係が急速に発展するだろう」との見方を示しています。

 

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