今年のイスラム教のラマダン

ラマダン=断食月はイスラム教徒たちにとって、最重要な行事の1つです。しかし、アラブの春=アラブ民主化運動が発生してから2年目となる今年のラマダンは暴力がアラブ諸国で広がっている背景の中迎えられており、ある方面からみれば、その意味がなくなるといえます。

今年のイスラム教のラマダン - ảnh 1
イラクでの爆弾テロ

イラク首都バグダッドや北部キルクークなど各地で16日、爆発や武装グループの銃撃が相次ぎ、計70人以上が死亡しました。また、キルクークでは、4台の車両が爆発し、2人が死亡、18人が負傷しました。中部の都市バクバとファルージャでは検問所などが襲撃され、警官6人が死亡しました。このほかの都市でも爆発や襲撃が発生しました。当局者の統計によりますと、ラマダンが近づいているこの一カ月、死者計400人、負傷者1000人が出ています。

今年のイスラム教のラマダン - ảnh 2
シリア難民

一方、シリアの情勢も悪化しています。シリアでは20日、アレッポや首都ダマスカス郊外など各地で、政権軍による砲撃や、武装反体制派の自由シリア軍の反撃などが相次ぎました。反体制派の地域調整委員会によりますと、同日、全土で少なくとも150人が死亡したということです。反体制派の集計では昨年3月の反政権運動激化後の死者は2万3000人を超えました。

レバノンも例外ではありません。レバノン北部トリポリで21日夜から22日にかけ、イスラム教スンニ派とアラウィ派の住民の戦闘があり、数人が死亡しました。戦闘は20日夜から断続的に続いており、これまでの死者は少なくとも10人、負傷者は100人以上に達しました。

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レバノンでの戦闘

それに加えて、イスラエルによるイラン核施設への単独攻撃の可能性が浮上していることも世論に不安をもたらしています。イスラエルで再び「イラン単独攻撃論」が高まっています。イスラエルの「政策決定者」を名乗る人物は「今、イランを止めない限り、中東各国が核を保有する事態に陥る。我々の運命にかかわる事柄をアメリカの手に委ねることはできない」と述べ、単独攻撃を示唆しました。

こうした中、国際世論は「ラマダンは明るい将来へ向けるものであるが、現状から見ればアラブ諸国の明るい将来がまだ遠いといえる」との見方を示しています。

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