南シナ海問題に関する中国の無理な要求をめぐる問題

 この間、中国はベトナムのホアンサ(Hoang Sa)群島とチュオンサ(Truong Sa)群島を含め、ベトナム東部海域いわゆる南シナ海の海洋面積のおよそ80%を占める「U字ライン」に対する領海宣言を繰り返しています。これは法的証拠のないもので、ベトナムを含む海洋に接するASEAN=東南アジア諸国連合加盟国だけでなく、国際社会からも反発を受けています。

去る28日、中国と台湾の学者グループはいわゆる「U字ライン」に関するシンポジウムを共催し、中国政府に対し、宣言を裏付けるため、適切な歴史資料を選択すること、また、中国と台湾の石油企業に対し、ベトナムのチュオンサ群島周辺での資源開拓に協力を拡大させることを要請しました。これは国際法、及び中国が調印したDOC=南シナ海行動宣言に反した行為です。実際、中国側が合法な証拠を手にするならば、適切な歴史資料を選択する必要ではありません。先ごろ、中国の南海研究院のゴ・シ・ゾン院長は中国紙のインタビューに応えた際、「ベトナム東部海域に対する中国の領海宣言は国内の法律にしか基づかないもので、国際法のいかなる規定も基礎としていない」と指摘しました。

 南シナ海問題に関して、国際社会は国際法を基礎にあらゆる紛争を解決するというベトナム、及び海洋に接するASEAN諸国の立場を支持しています。それで、中国と台湾の学者グループの以上の提案は外国人研究者と国際世論の共通の立場に逆行するものとみられます。最近行われた複数のシンポジウムはいずれも「U字ライン」に対する中国の主張は科学的、法的、及び実践的証拠がないものと指摘しました。ベルギーのブリジェ大学のエリック・フランク教授は「いかなる場合にも、『U字ライン』の地図は中国の主張を立証するものとならない」と強調するとともに、「国連の専門機関・世界気象機関は中国が提示した『U字ライン』を盛り込んだ地図で、なんらの科学的マークも見つけなかった。この地図は技術面で正確なものではなく、法的証拠がない」と明らかにしました。

一方、イギリスのデビッド・スコット法学教授は「中国が国連に『U字ライン』の地図を提示した目的は自国の要求の合法化にあるが、技術的証拠の提出を拒否するとともに、国連海洋法条約の遵守も拒否し、また、近隣諸国との紛争を国際法に従って解決する意向がない」と語りました。

これを受け、フランスの第7パリ大学のモニック・チェミレジェンドルー教授は「中国が何の証拠も持っていないことから、科学的論拠を提出することができない。その理由で、南シナ海の紛争が国際法に従って解決されることを望んでいない」との見解を示しました。また、ジェンドルー教授は「昔から、ベトナムはチュオンサとホアンサ両群島に対する領有権を主張してきたが、国際社会からなんらの反発も受けていない。それで、この両群島に対するベトナムの領有権宣言は歴史的証拠だけでなく、国際法にも基づくものだ」と強調しました。

 領有権の証明は法的、科学的、実践的基礎がなく、国際法に基づかない限り、国際社会の納得を得られません。ベトナム東部海域での平和な環境づくりがベトナムだけでなく、地域諸国、及び関係諸国の共通の願いとなっている中、中国のこの道理のない要求は国際社会の支持を受けていません。

 

 

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