南北朝鮮関係の新しい一ページへ


朝鮮半島の緊張緩和に向け、軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で、22日から断続的に行われていた韓国と朝鮮民主主義人民共和国の高官協議は25日未明、6項目で合意し、懸念されていた軍事衝突は回避されました。


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(写真:Yonhap)

合意文書では、朝鮮が今月4日に非武装地帯の韓国側で地雷が爆発し、韓国の兵士2人が大けがをしたことについて異例の遺憾を表明するとともに、前線地帯に出した「準戦時状態」を解除し、韓国は11年ぶりに再開した朝鮮向けの政治宣伝放送を25日正午から中断するとしています。さらに双方は、関係の改善のため、当局者による会談をソウルまたはピョンヤンでできるだけ早く開催することや、中秋節(9月27日)を機に、離散家族の再会を推進し、南北赤十字による実務協議を9月初めに行うことなどでも合意しました。

南北関係改善へ

今回の協議が南北衝突の危機の回避にとどまらず、多方面の交流と南北関係の改善に向け努力することにも合意したことから、朴槿恵(パク・クネ)政権発足後、進展のなかった南北関係に順風が吹くのではないか期待が膨らみ始めています。その中で、南北首脳会談も見えてくるのか、自然に関心を集めることになります。

韓国のパク・クネ大統領は25日午前、「重要なことは、合意したことが今後の会談などを通じ、円滑に進められて、南北の間の緊張が解消され、朝鮮半島の平和発展のための転機とすることだ」として、慎重ながらも関係改善への期待を示しました。

今回の高官協議には韓国から大統領府の金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長、朝鮮からは黄炳誓(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長が出席しました。それぞれパク大統領、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の意向をしっかりと伝えられる人物とされます。

朝鮮は重要な決定を下す場面になるたびに協議の一時休止を求め、金第1書記に指示を仰ぎます。韓国もパク大統領がほぼリアルタイムで協議の進行状況の報告を受けながら、必要な場合は指示を出したようです。パク大統領と金第1書記が間接的に会談したともいえます。

パク大統領をはじめ、韓国政府がこれまで首脳会談に開かれた姿勢を示してきたことからも、南北が改善関係に積極的に取り組み信頼が築かれれば首脳会談は十分にあり得るという見方が出ています。

和平協定への道のりはまだ遠いか

今回の協議の合意は国際社会から大きな歓迎を受けており、南北関係に新しい一ページを切り開く重要な一歩と期待されています。しかし、韓国大統領府は、「これまでの非正常的な南北関係がようやく正常化する第一歩を踏み出した」とするにとどめ、慎重な姿勢を保っています。

この日、高官協議の合意結果を発表した 大統領府のキム・グァンジン国家安保室長も、南北首脳会談開催については「話をする段階ではない」としました。

南北首脳が会談のテーブルに戻るまでの道のりは平坦ではないという見方もあります。朝鮮民主主義人民共和国は南北交流と協力を通じた関係改善が体制崩壊に つながりかねないと警戒しています。今回の協議は、軍事衝突の回避を目指しましたが、南北首脳会談の開催、さらに、和平協定の締結は今後どのように転じるかは予断できません。

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