2014年、中国がベトナムの排他的経済水域と大陸棚に違法に掘削装置を設置したことなどをきっかけにベトナム東部海域で緊張情勢が続いてきました。これはベトナムの対外事業に様々な試練をもたらしましたが、ベトナムは平和的対外路線を堅持し、柔軟な措置を活用したことで国の領有権の確保が図られた上で、中国との関係を維持し、発展事業に有利な条件を作り出してきました。
団結、自制、断固とした措置で問題を解決
写真: Dan Viet
2014年5月2日から7月15日にかけて、中国がベトナムの排他的経済水域と大陸棚に違法に掘削装置を設置している間に、ベトナムは団結して、力を合わせ、国の独立、主権、領土保全の確保を目指し、平和的外交路線を実施してきました。ベトナムの対外政策は平和愛好精神と国際法に従って紛争を解決するという立場を示すものです。ベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相は2014年のベトナム外交成果について触れた際、次のように強調しました。
(テープ)
「我々は各国との関係を発展させ、国の発展と領有権の確保に向けての平和かつ安定した環境をつくるという対外政策を堅持しています。これらはインタラクティブな効果がある2つの目標です。ですから、2014年、東部海域の情勢が緊張した時、平和的措置で問題を解決するため、対外活動を積極的に進めてきました。40回にわたり、中国側と接触し、東部海域問題について協議しました。」
外交分野の総合的な力を生かす
ベトナムは紛争を平和的に解決するという断固とした立場を強調するため、対外活動に全力を尽くす一方、国際友人の支持を得られるよう国内外の場裏を活用してきました。また、国外在留ベトナム人4百万人あまりは祖国に向けて、中国の違法な行為に抗議する集会を行いました。
ベトナムの道理に適った解決策は国際社会の支持を受けました。アメリカやEU=欧州連合諸国、国連、東北アジア、東南アジアから中国に対する反対の声が上がってきました。特に、東南アジア諸国連合は東部海域問題を見逃せない議題として見做した上で、20年ぶりに同問題に関する外相声明を発表しました。
ベトナムと中国との関係発展に努力
掘削装置がベトナムの排他的経済水域と大陸棚から撤去された後、ベトナム共産党書記長の側近は中国への実務訪問を行いました。これを機に、両国の指導者は海上問題に関する対立を抑制し、情勢の複雑化や紛争の拡大を回避することで一致しました。これは2002年、中国とASEANが調印したDOC=海上行動宣言の第5条に合致しています。また、この訪問に続いて、中国のヨウ・ケツチ国務委員や中国共産党政治局員で、全国政治協商会議の兪正声主席などが相次いでベトナムを訪れました。中国側はベトナムとの関係を重視し、健全で安定した関係の発展に努力すると表明しました。ベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相は次のように明らかにしました。
(テープ)
「海上問題の解決に際し、我々は中国との関係の維持に取り組み、各省庁、地方の訪問団の交換や経済、貿易関係の発展を進めてきました。ですから、中国との関係を維持する傍ら、東部海域の領有権の確保が図られました。」
2014年、ベトナムと中国との商取引額はおよそ580億ドルに達し、過去最高となっています。互恵を基礎とする関係は海上問題の解決に前提を作り出すとみられます。また、ベトナムは東部海域の緊張情勢から対外事業に関する貴重な教訓を引き出しました。民族の力を生かし、独立、主権、領土保全を確保すると同時に平和で安定した環境を維持して、はじめて発展を遂げるのではないでしょう。