国連のATTを巡る問題

2日、国連総会は、通常兵器の輸出入を規制する初の取り決めとなるATT=武器貿易条約案を賛成154、反対3、棄権23の賛成多数で採択しました。ATTは、軍用艦や戦車、攻撃用ヘリコプターといった通常兵器から拳銃などの小型武器の輸出入について基準を作ることを目的としています。また、各国に国際的な武器取引の報告を義務付け、人権侵害や禁輸措置に違反することを防ぐ狙いもあるとみられます。このような通常兵器の貿易を取り締まる世界的ルールは初めてで、50カ国が批准した90日後に発効します。


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規制対象となる通常兵器には、自動小銃など小型武器も含まれ、非合法市場への流出防止措置も義務化されました。そのため、武装勢力や犯罪組織による暴力が深刻化しているアフリカや南米の多くの国が条約を支持しています。また、武器の輸出入報告を年に1回、条約事務局に提出する義務が定められました。

ATTをめぐっては、昨年7月に行われた会議でアメリカや、ロシア、中国が消極姿勢を示したため、決裂しました。今年3月の会議でもイランや、シリア、朝鮮民主主義人民共和国が反対して合意できませんでした。しかし、推進国は国連総会での条約採択を目指すことにしていました。今回もイランや、シリア、朝鮮民主主義人民共和国の3カ国は反対票を投じました。

一方、ロシアと中国のほか、武器輸入大国のインドや中東諸国が棄権しました。棄権した国は23カ国で、条約を巡る各国の思惑の違いが浮き彫りになりました。ロシアは総会で読み上げた声明で、条約が非国家組織への武器供給を禁じていないことを棄権の理由の一つとしました。一方、中国は「武器管理の条約は国連総会ではなく、参加国の合意で採択すべきだ」との見解を示しました。

こうした中、アメリカのケリー国務長官は採択後に声明を発表し、「各国が条約履行のために整備を求められる国内システムは『アメリカでは既に導入済み』として履行可能であること」を強調しました。

ATTは1990年代半ば、ノーベル平和賞受賞者のコスタリカのアリアス前大統領が呼びかけたのが始まりです。 国際非政府組織のキャンペーンも展開され、国連での取り組みは2006年の総会決議で開始されました。

採択を受けた声明で潘基文国連事務総長は「歴史的な外交上の業績だ」と評価しましたが、各国の異なる姿勢から見ればこの条約が徹底的に履行されるかどうかと疑問視する意見もあります。

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