
戦後の地雷と不発弾の処理
ベトナムにおける戦争終結後の1975年以来、地雷と不発弾により4万2千人あまりが死亡し、6万2千人が負傷しました。世界各国の多くの国と国際組織の支援を受けて、ベトナム政府は、毎年、地雷と不発弾の克服に1億ドルを拠出すると同時に、地雷と不発弾汚染地域における経済社会発展を促しています。
ところで、ベトナム戦争中にアメリカ軍が使用した地雷と爆弾の量は1千5百万トンを超え、第2次世界大戦中の4倍近くでした。ベトナムは世界でも地雷と不発弾に最も深刻に汚染されている国々の一つとなっています。全国における地雷と不発弾の汚染面積はおよそ660万ヘクタールにのぼっています。特に、中部各省をはじめ殆どの省と市に地雷と不発弾が残っています。
関連各機関の集計によりますと、戦後の地雷と不発弾を完全に除去する為には数百年かかるそうです。戦後の地雷・不発弾を克服する国家行動プログラム指導委員会(第504指導委員会)委員長のグェン・タン・ズン首相は次のように明らかにしました。
(テープ)
「戦後の地雷・不発弾の状況はベトナム全土の殆どの地方で存在しており、経済社会発展事業に悪影響をもたらし、人々の生活に苦しい影響を与えています。ベトナムでは、戦後の地雷・不発弾により年平均で1500人あまりが死亡し、およそ2300人が負傷しています。」
戦後の地雷・不発弾を完全に処理する為に、100億ドル以上が必要だと予測されています。
戦争終結直後、ベトナム政府は地雷・不発弾の克服に配慮してきました。毎年、ベトナムは戦後の地雷・不発弾の除去作業におよそ3千万ドルを拠出しています。その他、地雷・不発弾汚染地域における社会福祉活動や地雷・不発弾回避教育、地雷・不発弾の被害者への支援などの活動におよそ5千万ドルを支出しています。
ズン首相は次のように語りました。
(テープ)
「これまでに、ベトナムが行なってきた地雷・不発弾の克服作業は多大な成果を収めました。数万ヘクタールの土地が地雷・不発弾・爆発物から開放されるようになりました。また、ベトナムは地雷・不発弾の調査と場所の特定を完了させました。複数の地雷・不発弾除去プロジェクトが実施され、前向きな成果を収めました。しかし、戦争の後遺症が甚大すぎた為、地雷・不発弾の克服任務や地雷・不発弾被害者の社会復帰への支援活動などはいまだに困難です。」
この数年間、各国の非政府組織と支援者はベトナムにおける地雷・不発弾の克服作業に対し数千万ドル相当の援助物資を行ないました。特に、ドイツ、オーストラリア、デンマーク、イギリスなどや、さらにおよそ40の非政府組織は地雷・不発弾の撤去、地雷・不発弾回避教育、被害者支援などに積極的に参加しました。2004年に、ユニセフ国連児童基金はベトナム中部のゲアン省、ハーティン省、クアンビン省、クァンチ省、トアテェンフェ省、ダナン市に暮らす児童を対象に地雷・不発弾についての意識を高めるために5年以内に500万ドルの援助額を行ないました。特に、1993年以来、アメリカ政府はベトナム戦争後の地雷・不発弾克服作業に合計で6500万ドルの援助を行いました。先ごろ、ベトナムとアメリカの両政府は、戦争後の地雷・不発弾克服に関する協力合意書に調印しました。在ベトナムアメリカ大使館のデビッド・シーア大使は次のように明らかにしました。
(テープ)
「この協力合意書が調印されたことは地雷・不発弾処理における、アメリカとベトナム間の人道的協力へ向けた長期的枠組みを作り出します。アメリカ側はベトナム人が地雷・不発弾の被害に悩まされることのない日々を待っています。」
ベトナム戦争終結から39年経った今日なお世界各国の支援を得ながら、ベトナム政府は地雷・不発弾の完全な撤去に努力しています。