ことし春に行われるフランスの大統領選挙は、家族への不正給与疑惑が浮上している中道右派、共和党のフィヨン元首相に対して出馬断念を求める声が高まるなど、選挙の行方は混沌としています。
今回の大統領選挙に立候補している主な候補者は、サルコジ前政権で首相を務めた中道右派の共和党のフランソワ・フィヨン氏、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首、オランド政権で前の経済相を務め、新たに中道の政治運動を立ち上げたエマニュエル・マクロン氏、そして、中道左派の与党・社会党で前の教育相のブノワ・アモン氏といった4人です。
マクロン候補
相次ぐ思いがけないこと
数年前、政治アナリストらは、2017年の大統領選挙は、中道左派の与党・社会党のサルコジ前大統領と、現職のオランド大統領との戦いになると予測していましたが、フィヨン元首相はサルコジ前大統領を追い抜いて中道左派の公認候補になりました。一方、中道左派では、オランド大統領が支持率低迷で再選を断念した後、アモン前教育相は、有力な候補とされていたマニュエル・ヴァルス前首相に勝ち中道左派の公認候補になりました。
フィヨン氏は当初、最有力候補と見られていましたが、議員時代に家族が勤務実態がないのに、議員秘書などとしての給与を議会から受け取っていたとされる疑惑により、支持率が大きく落ち込むなど苦境に立たされています。
予測しがたい選挙
これにより、最新の世論調査では、極右政党のルペン党首が25%とトップに立っています。ルペン氏は、反グローバル化や保護主義政策など、アメリカのトランプ政権と同様、自国優先の姿勢を鮮明に打ち出しました。憲法に「自国第一」を明記する憲法改正を目指すと公約しています。フランスや欧州が重んじてきた価値観とは真っ向から対立する主張に他陣営では危機感が広がっています。
支持率の25%で首位のルペン氏に次いで2位を占めているのは支持率調査で23%を集めたマクロン前経済相です。二大政党に失望した中道層に人気を広げるマクロン氏は二大政党に代わって浮上していると見られています。
これに対し、二大政党では、フィヨン氏が20%で3位、アモン氏が14%で4位でした。各候補への支持率の格差は僅少なことから、フランスの今回の大統領選の結果は今のところ、予測することはできない状態です。