日本の安倍首相は21日午後、アメリカに出発し、就任後初のアメリカ訪問を開始しました。日本時間土曜日未明に予定されているアメリカのオバマ大統領との首脳会談では、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉参加問題や、朝鮮民主主義人民共和国の核開発、沖縄の普天間基地移設問題を含むアメリカ軍再編など6つの議題が話し合われる予定だということです。
TPP交渉参加問題では、関税を残す例外、いわゆる「聖域」についてオバマ大統領から前向きな発言を引き出せれば、会談後に行う記者会見で交渉参加への決意を示すことになります。安倍首相は21日午後、公明党の山口代表と首相官邸で会談し、ワシントンでのオバマ大統領との会談を控え、TPPについて「聖域なき関税撤廃となるかどうかを確認したい。その上で、日本の国益を最大化できるよう考えたい」と表明しました。
そのほか、核実験を強行した朝鮮民主主義人民共和国への対応に関しては、国連安全保障理事会での制裁強化に向けて米国と連携する考えを示しました。当放送局の東京特派員によりますと、日米首脳会談では、朝鮮のミサイル・核開発で脅威が増していることを踏まえ、MD=ミサイル防衛強化の方針で一致する見通しだということです。
オバマ大統領は朝鮮民主主義人民共和国の核実験直後に行った一般教書演説で、同盟国と共にミサイル防衛を強化すると表明しており、安倍首相は協力姿勢を示すことで日米同盟強化につなげたい考えです。首脳会談では、共同開発中の次世代型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の開発を加速する方針を確認するとみられます。ブロック2Aが開発されれば、大陸間弾道弾の迎撃が可能になるとしています。
また、普天間移設問題では、アメリカ側は移設早期実現に向けた具体的なアクションを求めていて、安倍政権が移転先としている辺野古の埋め立て申請について安倍首相がどこまで踏み込むかが焦点となります。
今後、長ければ4年間つきあうことになるオバマ大統領との最初の会談でどのぐらいの成果を出せるか、安倍氏の外交力の真価が問われます。