フランス・ティーマーマンス 執行副委員長 （写真：baotainguyenmoitruong.vn）

新型コロナウイルス感染症が複雑に推移している背景の中で行なわれているこの訪問はベトナムとＥＵ＝欧州連合が双方間の全面的協力パートナー関係の強化を重視していることの表れと言えます。

2012年6月、ベトナムとＥＵは全面的協力パートナー協定を締結しました。この10年、ベトナムとＥＵはこの協定の履行のため様々な対策を実施してきました。現在、双方間の関係は急速に発展しています。

多くの分野に際立った成果を収めている

政治外交分野において、新型コロナにより大きな影響を受けているにもかかわらず、ベトナムとＥＵは双方訪問を行っています。その中で、2021年9月に行われた第76回国連総会に参加した際、グエン・スアン・フック国家主席がシャルル・ミシェル欧州理事会議長と会見を行ったことや2021年11月に行われたＣＯＰ26会議への参加を際にファム・ミン・チン首相がウァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と会見したこと、2021年9月にブオン・ディン・フエ国会議長がＥＵ公式訪問を行ったことなどです。

経済、貿易関係に関して、現在、ＥＵはベトナムの第一の無償援助供与相手で、第3の輸出先、第5の輸入先、第6の投資相手となっています。2021年、ベトナムとＥＵとの取引総額は636億ドルに達し、2020年と比べておよそ15％増となりました。

2021年末現在、ＥＵ加盟27か国の中の25か国はベトナムに2300件の投資プロジェクトを行っており、その投資総額はおよそ225億ドルにのぼっています。

2014年～2020年期に、ＥＵはベトナムに総額4億ユーロの無償援助を行っており、2021年～2024年に、2億1千万ユーロの援助を公約しました。

特に、双方はＦＴＡ＝自由貿易協定を締結しており、これは両国関係に新しい節目を記しました。双方間のＦＴＡを履行してから1年半後の現在、ベトナムはＥＵの17番目の貿易相手から15番目の貿易相手になりました。

その他、双方は科学技術、医療、司法、教育、エネルギー、気候変動や自然災害対応などの面で協力を強化しています。現在、ＥＵはベトナムの農村部、山岳地帯、離島などでの持続可能なエネルギー開発政策支援プロジェクトや海洋プラスチックゴミ対策、持続可能なエネルギへの転換などに関するプロジェクトを支援しています。特に、ＥＵはベトナムに大量の新型コロナウイルス・ワクチンを供与しました。ＥＵ加盟諸国はベトナムに新型コロナウイルス・ワクチンおよそ4千万回分と他の医療物資の供与を公約しました。

このように、ベトナムとＥＵとの関係があらゆる分野で急速に発展していると言えます。ＥＵは多くの分野において、ベトナムの重要な相手国の一つとなっています。

ベトナムとＥＵとの全面的協力パートナー関係を引き続き強化

これまでに達成した成果はベトナムとＥＵが今後も双方間の全面的協力パートナー関係を引き続き強化する土台となると言えます。今回のベトナム訪問にあたり、ECのフランス・ティーマーマンス 執行副委員長はファム・ミン・チン首相を表敬訪問する他、レ・バン・タイン副首相と会談し、経済中央委員会、商工省、農業農村開発省、資源環境省などの代表と会合を行います。

この訪問に先立ち、ベトナムとＥＵは双方間の全面的協力パートナー関係を深化させたい意向を表明しました。その中で、ベトナムはＥＵと加盟諸国に対し、ベトナムとＥＵの投資保護協定を早期に批准すると共にEC＝欧州委員会がベトナムの水産物に対するIUU＝違法・無報告・無規制漁業の防止対策が不十分として提示した警告（いわゆるイエローカード）を早期に解除することを望んでいるということです。