(VOVWORLD) - 9日、韓国の平昌で、冬季五輪2018が正式に開幕します。17日間にわたって開催されるこのオリンピックは各国の選手らが競い合うだけではなく、 南北朝鮮が関係を改善するチャンスとも見られています。朝鮮民主主義人民共和国がこの大会に高官を含め代表団に派遣することは積極的な兆しと評されていま す。
1月17日、韓国と朝鮮民主主義人民共和国は北側の平昌五輪への参加や、南北合同スキー練習などについて合意しました。1950年から1953年の朝鮮戦争が和平協定ではなく休戦協定で終わったことから、現在も朝鮮半島での緊張が続いています。こうした中、今回の五輪は見逃せないチャンスと見なされています。
南北関係の改善
2ヶ月前に実施できないと思われていたことが現実になっています。7日、280人からなる北側の代表団が韓国に到着しました。代表団を率いるのは、朝鮮民主主義人民共和国オリンピック委員会の金日国(キム・イルグク)委員長兼体育相です。
また、北側は4日、平昌冬季五輪の代表団に金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長を派遣すると韓国側に伝えました。金氏は形式的な国家元首を努めており、五輪を機に緊張緩和の気運が高まる中、過去4年間で最も高位の北側関係者による訪韓となります。
韓国大統領府の高官は匿名で記者団に対し、「金永南氏の派遣は、緊張緩和を進めようとする北朝鮮の意思と真摯な態度を反映するものと受け止めている」と語りました。また、韓国大統領府の関係者は5日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と平昌冬季五輪に合わせて訪韓する北側の金永南最高人民会議常任委員長との個別会談を検討していることを明らかにしました。
一方、アメリカのティラーソン国務長官は5日、ペルーのリマでの記者会見で、平昌五輪開会式に出席するため韓国を訪問するペンス副大統領と北側との接触について「様子を見てみよう」と述べ、実現に含みを持たせました。
試練
朝鮮半島情勢に関する積極的な兆しが出ていますが、試練も山積しています。7日午後、来日中のアメリカのペンス副大統領が安倍晋三首相と会談し、核・ミサイル開発を続ける北側に対し日米が協力して圧力路線を維持する方針を確認したことはその証です。
これに対し、北側は、平昌五輪開幕を翌日に控えた8日午前、平壌の金日成広場で、朝鮮人民軍創建70年記念日を祝う大規模な軍事パレードを行い、長距離弾道ミサイルと戦闘機を披露しました。また、同国外務省は、「五輪開催期間中、アメリカ側と合う意向はない」と確認しました。
2018年に入って、南北朝鮮関係は多くの変化を見せています。中でも、北側の今回の冬季五輪への参加は望ましい動きとなっています。問題点がたくさん残されていますが、平昌オリンピックがそれらの問題解決に役立つことが期待されています。