新たな段階を迎えた仏キューバ関係


キューバのラウル・カストロ国家評議会議長が1日と2日の両日、フランスを公式訪問しました。キューバの元首がフランスを訪問するのは21年ぶりで、フランスとキューバとの関係だけでなく、キューバの国際社会への復帰も新たな段階を切り開くとされています。

経済協力を促進

カストロ氏はフランスを訪問中、オランド大統領を初めフランスの指導者らと会談・会見しました。これらの席で、双方は、政治、経済、投資、文化など様々な分野において協力を強化する措置について話し合いました。その中で、10件の契約を結んだほか、両国の経済協力の強化を目指す「ロードマップ」、及び、交通・観光・通商に関するいくつかの協力覚書を締結しました。現在、キューバとフランスの貿易総額はまだわずかです。

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パリで首脳会談したカストロ議長とオランド大統領
(写真:AFP/VNA)

カストロ議長とオランド大統領は1日の首脳会談で、経済連携を大幅に強化することで合意しました。オランド氏は終了後の共同記者会見で、アメリカのオバマ大統領に対し「冷戦の遺物をなくすため最後まで務めを果たすべきだ」と述べ、対キューバ経済制裁の完全解除を要請しました。また両首脳は、フランスがキューバに対する債務の大半を減免した上で、両国の経済協力を推進するため2億ユーロ(日本円で260億円)超の規模の新たな基金を創設することでも合意しました。

互恵関係の促進

昨年5月、アメリカとキューバの国交回復交渉が始まって以降、欧米主要国の首脳として初めてキューバを訪れたオランド大統領には、フランスの企業の代表30人が同行しました。フランス企業は、アメリカの経済制裁により老化した道路や水道など、キューバのインフラ整備プロジェクトの受注において優勢に立っていると見られています。

そして、フランス企業は、キューバを通してラテンアメリカ、特にカリブ地域への進出を拡大する方針です。フランスのオランド大統領は、カストロ議長の訪問で締結された契約と覚書はキューバとの経済関係を促進させると共に、有望なラテンアメリカ市場を開拓するチャンスをもたらすであろうと希望を表明しました。

一方、キューバは、フランスの支援を利用して、アメリカの経済制裁の全面解除を目指しています。そして、フランスを欧州市場への進出の窓口としており、国際社会への復帰を推進させる方針です。フランスのオランド大統領も、キューバの国際社会への復帰を後押しする姿勢を鮮明にしました。その意味で、カストロ議長による今回のフランス訪問は、両国関係に新しい発展段階を切り開くと期待されています。


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