(VOVWORLD) - 9日、東京都内で、日本や、中国、韓国の首脳会談が行われました。朝鮮半島の非核化問題のほか、今回のサミットは3カ国間の信頼醸成と協力強化にチャンスをもたらしたと評されています。また、日中韓3カ国の協力は世界経済の発展にも寄与すると期待されています。
東北アジアの安全保障情況が好転し、朝鮮半島での非核化プロセスが積極的な兆しを見せ、世界経済が保護主義の台頭に直面している中で開催された今回の首脳会談は意味深いといえます。
(写真:EPA/TTXVN) |
世界銀行によりますと、日本や、中国、韓国はアジアだけでなく、世界の経済大国であり、全世界のGDPの22%、そして、アジアの70%を占めています。
保護貿易主義の圧力を受ける国同士
3か国が共に直面している保護貿易主義が台頭している背景で、貿易は会談の主要議題となりました。実際、日本も中国も韓国もアメリカの貿易赤字相手国のリストに入っています。先月から、トランプ政権は日本とのFTA=自由貿易協定交渉に向けて日本への圧力を強めています。
アメリカ通商代表部は対日本FTAの協議開始をすでに打診しており、日本側の感触を探っています。アメリカ側は為替条項や、輸出自主規制など「管理貿易」を求める可能性があり、両者の水面下の協議は難航しています。特に、米中貿易摩擦は深刻です。
中国政府は4月4日、アメリカ産の大豆、牛肉、自動車、飛行機など計106品目に25%の関税をかけると発表しました。アメリカが中国の産業機械など1300品目に25%の関税をかける方針を決めたことへの報復措置となっています。
関税の対象額は米中ともに500億ドル(約5兆3千億円)です。米中という世界の2大経済大国で貿易戦争が起きれば、世界経済の波乱要因となりかねないとされています。
日中韓の経済協力強化
こうした中、5月9日の首脳会談で、日本の安倍晋三首相や、中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領は経済分野について協議し、RCEP=東アジア地域包括的経済連携や、3カ国のFTA=自由貿易協定交渉加速で一致しました。
3カ国を中心に自由貿易を進めることで、トランプ大統領が強める保護主義への対抗姿勢を打ち出しました。日中の間では金融危機の際、互いに通貨を融通し合う通貨交換(スワップ)協定再開などで合意しました。
また、日本と中国は、金融機関などが人民元で中国本土の証券に投資できるようにする投資枠を日本に付与することにも合意しました。会談後の会見で安倍首相は「世界の政治経済において、大きな存在感を示すこの3カ国が力を合わせればできないことはない」と強調しました。
日中韓3カ国は朝鮮半島情勢などの問題で関係が冷え込んだ時もありましたが、現在は違います。この3カ国の経済協力は東北アジア地域の安定と発展に役立つと評されています。