先ごろ、日本の安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は、日本政府が憲法解釈上できないとしてきた集団的自衛権行使を可能にするよう求める報告書を提出しました。これは、日本国内外の世論の注目を集めています。
日本憲法第9条(写真:http://ca9a.sakura.ne.jp)
報告書は安全保障環境の変化を踏まえ、自衛措置を必要最小限度にとどめるべきだとしてきた政府見解に集団的自衛権行使も含めるよう提言し、憲法解釈変更を求めました。また、報告書は、国連の集団安全保障への参加や、武力攻撃に至らない「グレーゾーン」事態対処も可能とするよう法整備を求めました。
日本政府の動き
これに関し、5月15日行われた記者会見で、安倍首相は「必要な法的基盤を盤石にする確固たる信念を持って真剣に検討を進めていく決意だ」と述べ、解釈変更に向けた検討を加速する方針を表明しました。日本の与党は20日から、協議を本格化させ、政府・自民党は年末に予定する日本・アメリカ防衛協力の指針再改定をにらみ合意を急ぎます。
国内外の世論の反応
日本のこの動きは国内外の世論の注目を集め、矛盾した反応を引き起こしています。まず、国内の反応です。
日本政府が憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案を可決させ、憲法改正に向け、反対者を説得しようとしていますが、5月13日火曜に日本国会前で2000人以上規模のデモが行われました。それより前も、憲法記念日に際して、東京で数百人が集会の中で、政府の憲法改正の動きは、軍国主義への回帰につながるとし、それに反対しました。これらは、日本政府が世論を納得させることができなかったことを表しています。
次は国際世論です。日本の力を活用したいアメリカは日本の同盟国として、「支持と歓迎」の声を上げています。アメリカ国防総省は支持しながら、「日本は平和を尊重するという伝統を尊重する」との希望を示しています。
一方、韓国政府は、朝鮮半島の安全保障と韓国の国益に影響を及ぼす事案について、韓国の要請なしには容認できないという原則論を維持しており、慎重な態度を示しています。
平和のためという目標
憲法改正は日本の内政問題です。しかし、国際社会における日本の高い地位と影響力、中国の海洋進出による地域内の海上紛争のエスカレートなどの角度から見れば、日本は、地域と世界の平和、安定、発展に引き続く寄与していくように、国内外の世論だけでなく、様々な要素も配慮する必要があるといえます。